提供/スターチャンネル

記憶にも新しい、2019〜2020年に起こったオーストラリアの大規模森林火災。広範囲に広がり、甚大な被害をもたらしたこの森林火災をもとに作られたドラマ『FIRES〜オーストラリアの黒い夏〜』が、スターチャンネルEX で独占配信中だ。このような痛ましい環境災害を引き起こさないために、今私たちができることとは? 未曾有の危機を体験した人々の実話にインスパイアされた、全6話のアンソロジーを豪華キャストが演じる。ここ数日、ヨーロッパの記録的な暑さと森林火災がニュースで報じられているが、同様の現象が世界各地で起きており、地球規模で気候危機の影響が出始めている。私たち一人ひとりがすべきアクションを改めて考えていきたい。

c)2021 Tony Ayres Productions Pty Ltd, Australian Broadcasting Corporation and Screen Australia. ALL RIGHTS RESERVED. (第1話「燃え盛る」より)

そもそもなぜ最大規模の森林火災が起きたのか?

オーストラリアでは毎年、ブッシュファイヤーと呼ばれる森林火災が起こる。実はそれは、自然のサイクルの一環として生態系に受け入れられていて、在来種の大半はある程度火災に適応している。火災を利用して種を繋げる原生植物も一部あるのだ。しかし、大規模な火災となると話は変わる。火の回るスピードが速く凄まじい威力となるため、地中の種子まで燃えて、大型哺乳類などは逃げ遅れてしまうのだ。

2019年から2020年に起こった大規模森林火災は、さまざまな要因が重なったものの、インド洋の『ダイポールモード現象』が大きく関係している。これは、インド洋西側に高温の海水がたまることで、アフリカ東部では雨量が増加し壊滅的な洪水などが起きる一方、逆側の東側にあるオーストラリア付近の海水は冷たくなり、降雨を妨げる現象だ。

それにより、オーストラリアでは2019年、観測史上最も雨の少ない春となった。そして日照時間の長い夏が乾いた地面を熱くした。その乾燥し熱を持った環境で、油分を多く含むユーカリやティーツリーなどの木々や枯れ葉が擦れ、それらが火種となり、着火。引火については、それ以外にもタバコのポイ捨てや野焼きの処理が不完全だったためなど、人的要因もある。

Reproduced from The Australian Government Bureau of Meteorology website under the Creative Commons Attribution 3.0 Australia License オーストラリアの年間平均気温の異常値を示すグラフ。中央0が1910年から2020年までの年間平均気温を指す。それに対し、毎年気温が上昇を続けているのが分かる。

さらに、南極振動(南半球における極渦の強弱を示すパターン)によって発生した強い西風が、乾いた空気をオーストラリア東部に流し込み、森林火災を悪化させた。そしてその煙がオーストラリアの国土70%近くを覆ったのだ。この火災による二酸化炭素放出量は過去20年間で最大となった。

参考:2019~2020年のオーストラリアの森林火災は過去20年で同国において最も多くの火災起源の二酸化炭素を放出した

コアラの総数の1/3が死亡。火災が自然界に及ぼす影響とは

この火災により、消防士9名を含む33名が死亡し、約3000棟以上の家屋やビル、約1千万ヘクタール以上の土地が焼失した。この焼失面積は、北海道の大きさを優に超える。動植物への影響も甚大であり、30億頭を超える動物が被害を受け、コアラは総数のおよそ3分の1が死亡している。たった数ヶ月の大火災で、今まであった生態系は崩壊し、全く同じように再生できるかは未だ不透明だ。

(c)2021 Tony Ayres Productions Pty Ltd, Australian Broadcasting Corporation and Screen Australia. ALL RIGHTS RESERVED.(第5話「自力」より)

そして、火災によって莫大に放出された二酸化炭素は私たちの未来に重くのしかかった地球温暖化が原因の一つとされる気候変動と異常気象が、森林火災を起こし、莫大な二酸化炭素を発生させ、ますます地球温暖化を加速させるという負のサイクルとなっているのだ。地球温暖化に関しては、日本に居る我々も実感しているはずだ。連日の猛暑にゲリラ豪雨や大型台風、それによる洪水など、例年被害が広がっている。今、世界中が気候変動による自然災害に苦しめられているのだ。

参考: Australian Koala Foundation

『FIRES』が伝える教訓とは

スターチャンネルEXで配信中の『FIRES〜オーストラリアの黒い夏〜』は、この大規模森林火災を体験した人々の実話からインスパイアされ、つくられたドラマだ。ストーリーテラーの消防士2人からつながる全6エピソードで、火災の惨劇をリアルに描写しながら被害を受けた人たちに焦点を当て、話が進んでいく。

制作には、実際に消化活動を行なった消防機関がコンサルタントとして協力し、火災の実態を本物に限りなく近く再現している。各エピソードの登場人物も多様性に富み、そのリアルなストーリーが観ている者を物語へ引き込んでいく。このドラマは、PTSDを負った消防士や被災者たちに敬意を持って制作され、私たちに地球環境へ思いを馳せる機会を与えてくれる。

そして、火の季節のトラウマを追体験することで、自然災害の中での人間の無力さと絆を同時に感じ、誰しも一人では生きていけないということを知る。人々はコミュニティをつくり、助け合いながら生きているのだ。

私たち一人一人ができることを考えよう

この焼けただれた地に、虫や鳥を呼び、動物たちを戻すことには容易ではない。豊かなユーカリの森が再生されるには、一体どれだけの年数がかかるのかは分からないのだ。
このような自然災害を引き起こしてしまう原因には、気候変動、すなわち人類による環境破壊が大きく関係している。少しでも地球温暖化を防ぐ為に、私たちは何をすればいいか。政府や他人に怒りをぶつけることなのだろうか? もちろん意見を投じ、シェアすることは今後もっと必要になってくるはずだ。発信することはとても大切なことだが、その前にも、私たちには今日からできることが沢山ある。

毎日の生活でプラスチックを減らすこと。無駄な消費を抑え、ものを大切に使い続けること
たったこれだけを私たちが意識し、実践することで、個人の発生させる二酸化炭素を減らすことにつながる。こう思う時もあるかもしれない。「私一人がやったことで何の意味が?」、「個人でできることなんて限界がある」。しかし、こう言い換えることもできる。「一人の力は微力でも、決してゼロではない。集まれば大きな力となる」。

諦めたら地球を守ることができない。それは、つまり、自分自身と自分の大切な人たちを守ることができないということなのだ。これからの人生と大切な人が健やかであることを願うなら、今日から思いやりの小さなアクションを起こすことが一番の近道だ。

「外に出て、林や草原に入って、ただ感じて。きっと耳や目で何かに気づき、つながりを感じて世話をしたくなる。それが第一歩。」(『FIRES』第6話「失われた夏」より)

人と自然のつながりを感じて、手を差し伸べることから始めてみよう。

 

FIRES〜オーストラリアの黒い夏〜
2019年〜2020年に起こった豪州大規模森林火災をテーマにしたアンソロジー。『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』のエリザ・スカンレン、『アバター』のサム・ワーシントンらオーストラリア出身の実力派俳優が集結。スターチャンネルEX独占で配信中。

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取材・文/伊藤由美子