名取裕子主演の映画『吉原炎上』が35年経った今でも「傑作」と呼ばれるワケ

仁支川峰子、友近、五社巴が語り尽くす

すべてが「サビ」の映画

仁支川峰子 序盤にいきなり、名取裕子ちゃんと二宮さよ子さんが絡む、濃密なレズシーンが始まるのが衝撃的よね。花魁としてどうやって男性客を悦ばせたらいいのか、遊郭で最も位の高い一番花魁の九重(二宮)が、入ったばかりの久乃(名取)に手ほどきするのよ。

友近 快感に身悶えた久乃が、手を伸ばし、やがて絶叫しながら豆電球を握りつぶす。ロケなどで豆電球を見る度に、あのシーンを思い出します。

『吉原炎上』

五社巴 私の父・五社英雄が監督した『吉原炎上』が公開されて、もう35年が経ちます。仁支川さんをはじめ、名取さんかたせ梨乃さんら豪華な女優陣の大胆なヌードシーンが大きな話題になり、配給収入6億円の大ヒットとなりました。友近さんは、五社作品の世界観をオマージュしたネタを作るほど父の大ファンなんですよね。

友近 『吉原炎上』は、私が初めて観た五社作品でした。たまたまテレビで放送されていたのを、なんの気なしに眺めていたんです。そうしたら、退屈する暇のないストーリー展開、鮮やかな画、無駄がなくすべてが「サビ」という感じに衝撃を受けて。当時、私はまだ10代でしたが、気付いたら画面に吸い寄せられていました。今では劇中のセリフをそらで言えるぐらい、体に染み込んでいます。

 

仁支川 そこで、洗礼を受けちゃったのね(笑)。三番花魁・小花として出演した私が現場入りした時、あのレズシーンで30回以上テストを繰り返したと聞いて、びっくりした記憶があります。

五社 父は、女性を美しく撮ることに命を賭けていましたから。それに二宮さんは文学座出身。何度もテストを重ねたのは、舞台育ちの大仰な芝居を抑えるため、という狙いもあったそうです。

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