感染者数30万人超えも…! まだ全貌がわからない「新型コロナ第7波」の“正しい怖がり方”
衝撃的な感染急増の見通し
「(1日の新規感染者が)4 週間後の 8 月 3日には5万4902 人となり、今年2 月 8 日に記録した第 6 波のピーク( 1万8012 人)を超える」――。
参議院議員選挙の投開票を3日後に控えた先週木曜日(7月7日)のこと。東京都は、新型コロナウイルスの感染状況と医療体制を分析するモニタリング会議を開催、衝撃的な感染急増の見通しを示した。

席上、専門家の口からは、オミクロン株の亜型である「BA.5」への置き換わりがきっかけで、「第7波に入ったとも考えられる」(賀来満夫・東京iCDC所長)との発言も飛び出した。
だが、政府・与党の動きは素っ気ないものだった。木原誠二・官房副長官は同じ7日の記者会見で、まん延防止等重点措置などについて問われて、「引き続き高い警戒感を持って状況を注視し、都道府県や専門家と連携して適切に対応する」としつつも、「行動制限は考えていない」と述べるにとどまった。
理由は、「全国の都道府県から要請が出ていないから」で、政府がリーダシップを発揮することを拒んだ形だった。
3年ぶりの夏のレジャーシーズンを心待ちにしていた国民や関係業界にとっては、まん延防止等重点措置など耳にもしたくない話だろう。
だが、「BA.5」はワクチンや感染で得られた免疫をすり抜ける能力が高いとされている。政府はもっと国民に警戒を呼びかけるべきであり、優柔不断の感を免れない。そんな中でも、われわれは個人レベルで警戒を怠るべきではないだろう。
確かに、新規感染者の増加ペースは急ピッチだ。
全国レベル(NHK集計)で見ると、今年1月からの第6波は、2月5日の10万5587人をピークに減少に転じ、6月20日に7797人で底を付けた。その後、増加に転じて、そのペースが加速。
7月6日以降は前の週の同じ曜日の2倍を超すペースが定着。7月8日には5万103人と4月14日の5万5253人以来ほぼ3カ月ぶりに5万人を上回ったのだ。
仮に、全国レベルも、第7波のピークが東京都の試算と同じ比率で第6波を上回るとすれば、今回は32万人を超える計算になる。
こうした急増の主因とされているのが、感染の主流がオミクロン株のうち感染力が高いとされる「BA.5」という変異ウイルスに置き換わっていることだ。「BA.5」は今年2月に南アフリカで確認され、5月以降、欧米を中心に感染が広がってきた。イギリスの当局によると、「BA.5」はそれまでの主流だった「BA.2」に比べて感染速度が35.1%高まっているという。これは「BA.5」はウイルス表面にある突起に変化が起き、免疫を逃れる性質を持っているからだとされる。
加えて、猛暑の中で冷房を使うケースが多く換気の頻度が下がっていることや、人出が増えて接触機会が増えていること、そして感染や2回目、3回目のワクチン接種から時間が経過して免疫力が低下している人が増えていることが、感染の拡大に拍車をかけているとみられている。