2022.07.21

【カレートレンド最前線】ガチ勢を魅了した南インド料理「ミールス」の次を担うのは、意外な「地域」だった

「ミールス」のビジュアルに魅せられた

私が「南インド料理」なるものの存在を知ったのは、2000年代中頃。雑誌dancyuで特集が組まれているのを見たのがきっかけです。その現地レポートやレシピを担当されていたのが、インド料理研究の泰斗、渡辺玲さん。渡辺玲さんはそれ以前より『誰も知らないインド料理』『ごちそうはバナナの葉の上に』といった著書で南インド料理の魅力を伝えてこられた、まさに伝道師ですが、それが全国メディアで大々的に取り上げられるようになったのはこの時代のdancyuが嚆矢だったのではないでしょうか。

この時点において、国内で南インド料理を標榜する専門店は、まさに「数えるほど」でした。しかしその鮮烈な味わいや、米の周りをカレーや独特の菜食料理がビビッドな色合いでぐるりと囲む南インドスタイルの定食「ミールス」のビジュアルは、一部でカルト的な人気を博しました。もちろん私自身も、それに魅せられた一人ということになります。

色合いも美しい「ミールス」 「チキンカレーultimate21+の攻略法」より

今では「南インド料理」は、一部のカルト的人気の枠を超えて、日本におけるカレーシーンの中で堂々たる一ジャンルを築き上げるまでになりました。そしてそのことによって日本人は、ナンやバターチキン、タンドリーチキンなどに代表される一般的なインド料理が北インド料理であるということを認識するに至ったわけです。

 

そして同時に、南インド料理とも共通する要素の多いスリランカ料理や、北インド料理よりパワフルかつ素朴な魅力が特徴のパキスタン料理も、徐々に独立した市民権を得ていくことになります。更に、それまでは北インド料理ばかりを提供していたネパール人シェフたちも、こぞって本来のネパール料理を積極的に提供するようにもなりました。伝統的なネパールスタイルの定食である「ダルバート」は、今や南インドの「ミールス」以上に多くの店で提供されています。

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