2020年度の司法統計によると、裁判所への離婚申立の理由は男女とも「性格の不一致」が第1位だ(男性9,240 件、女性16,304件)。
2位以下になると男女で理由は異なる。女性のデータを見ると、2位「生活費を渡さない」(13,235件)、3位「精神的に虐待する」(10,948件)、4位「暴力を振るう」(10,459件)と続く。

しかし、1位の「性格の不一致」は、必ずしも「相手が嫌な人」だとは限らない。むしろとてもいい人とだって「性格が合わない」ということはある。ただ、いい人だからこそ、子どもがいるのに離婚をしなくてもいいのではないか、と周囲に言われることもあるだろう。
では、いい人だったら「合わない」も我慢したほうがいいのだろうか。

ライター上條まゆみさん連載「子どものいる離婚」、今回話を聞かせて下さったのは44歳の11歳と7歳の男の子の母親だ。彼女はなぜ「いい人」である夫となぜ暮らすのがつらくなってしまったのだろうか。

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元夫は「とてもいい人」

「元夫はとてもいい人でした。でも、私とはうまくいかなかった。合わなかったんですね、きっと……」と宝田ちなみさん(仮名・44歳)は、長いまつ毛の目を伏せた。
ほっそりと華奢で「きれいなお姉さん」といった風情のちなみさんは、11歳と7歳の男の子のママだ。
元夫とは別居1年を経て、半年前に離婚した。

完全に私見なのだが、結婚に大切なのは相性で、それはある意味、運によるところが大きいと、つくづく思う。愛し合っている2人でも、一緒に暮らすと歯車が組み合わないことはよくあるし、「流れで」あるいは「条件重視で」結婚を決めた2人でも、何だかんだ、いい感じになかよくしている夫婦も見かける。
離婚の話をこれまでたくさん聞いてきたが、どちらも悪くない、むしろいい人過ぎるくらいなのに離婚に至るケースに出会うたび、その思いは強くなる。
ちなみさんの離婚も、そうだった。

「元夫はやさしくておだやかな人。だからこそなのかな、人と感情をぶつけ合うことが苦手で、争いを避けるところがありました。一方、私は、感情をぶつけ合いながら関係を深めていきたいと思うたち」

ちなみさんと元夫は、友人の主催したホームパーティで知り合った。元夫からの熱烈なアプローチを受けて、付き合い始めた。「やさしくておだやか」なところがいいと思った。
「その直前まで付き合っていた人が、元夫とは真逆で『俺様』な感じの人だったから。だいぶ傷つけられたりもしたので、その反動ですかね」

1年ほど付き合い、28歳で結婚。共働きを続けていたが5年後、妊娠したのをきっかけにちなみさんは仕事を辞め、専業主婦となった。

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