【安倍元首相襲撃事件】銃創に挑んだ奈良県立医大・福島英賢教授の死闘

救急医療のエキスパート

約20Lの輸血

7月8日、奈良市消防局に「安倍晋三元首相が銃撃された」という通報があったのは、午前11時31分のことだった。それからわずか5分でドクターヘリの出動要請があり…約50分後、病院に運び込まれた安倍氏は心肺停止状態だった。

「頸部に2ヵ所の銃創があり、心臓および大血管の損傷による心肺停止と考えられた。蘇生措置をしたが、残念ながら17時3分にお亡くなりになられた」

8日夕方の会見で、福島英賢・救急診療科部長はこう説明した。その後、奈良県立医科大学には苦情も寄せられたようだ。だが、福島教授たちが死力を尽くしたことは疑いようがない。

「安倍元首相に対しては100単位、約20Lの血液が輸血されたようです。これは通常と比べても格段に多く、出血が続く中でどんどん血液を入れる状態だったと考えられます」(医療経済ジャーナリスト・室井一辰氏)

photo by Gettyimages
 

元首相の命を救うべく、奈良県立医大は全力を尽くした。当初は10人以上、最終的には20人以上が対応に当たった。

緊急時にもかかわらず、奈良県立医大がここまでの対応ができたのには理由がある。「過去の失敗」から学び、非常時に動ける体制を築き上げていたのだ。

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