大成功例を「異常値」と切り捨てる「平均発想」では未来は作れない

そんなことでは日本企業の低迷が続くだけ
「アメリカの代表的な平均株価指数S&P500から「GAFAM」を除くと、過去30年間低迷中の日本の株価とあまり変わらない」と言う人がいる。計算すれば、たしかにその通り。でも、だからといって「日本企業の経営スタイルはこのままでいい」と言えるだろうか。その強烈な違和感について、著書『ゼロからわかるファイナンス思考』で「成長投資」の重要性を力説する、スタートアップ投資家として名高い朝倉祐介氏が寄稿した。

GAFAMを除いたら日米の株価パフォーマンスは同じようなもの?

4月に刊行した拙著『ゼロからわかるファイナンス思考』でも、その前の著書『ファイナンス思考』(ダイヤモンド社)でも、日米の株価推移のグラフを載せています(下の図)。1989年から最近までの米国の平均株価指数S&P500と、日本の平均株価指数TOPIXを重ねると、アメリカのほうはリーマンショックなどによる下落がありながらも一貫して伸び、およそ14倍になっているのに対して、日本の株価は平坦なまま推移しています。どうしてこんなに差がついたのかを考えてみたいという問題提起のために出しているのですが、このグラフに批判を受けることがあります。

そのポイントはおもに2つ。まず、私が言う「ファイナンス思考」があるかないかだけでこんなに差がつくわけではないだろうという批判です。それはたしかにその通りです。日本株低迷の背景には何より人口動態の問題があります。過去30年で高齢化が進行し、現在では生産人口も消費人口も縮小傾向にあります。そんな状況では明るい未来を描きづらく、投資も消費も進まなかったというのが一番の要因だと私も思います。

 

しかし、そうではあるのですが、株価は個々の企業の将来性を反映したもの。S&P500とTOPIXの推移にこれだけ大きく差があるということは、過去30年を通して日米それぞれの市場に上場している企業群に対する将来性の評価が大きく分かれた結果だと思います。その背景には少なからず、ビジネスパーソンの考え方や経営判断の違い、ファイナンス思考の有無が反映されていると私は捉えています。

もう1つのよくある批判は、S&P500が14倍に伸びているとはいうが、GAFAM(Google、Apple、Facebook=Meta、Amazon、Microsoft)を除いたら(S&P500-GAFAM)、結局のところTOPIXとあまりパフォーマンスは変わらないではないか、というものです。

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