「死せる安倍晋三、生ける習近平を走らす」
考え見てれば、就任当初からは安倍首相と日本のことを頭から軽視し、あるいは蔑視した中国の習主席は10年が経って気がついたら、安倍晋三という「小日本」の指導者はいつの間にか、中国封じ込めを中心人物となってそれを実現させ、そして中国と習主席自身はいつの間にか、安倍晋三の企んだ中国包囲網の真ん中にあって四面楚歌の状況となっていた。習近平と中国はこのようにして、安倍晋三にしてやられたわけである。
しかしあまりにも残念のことに、前述のNATO首脳会議から1週間後の2022年7月8日、安倍元首相は凶弾に倒れて帰らぬ人となった。それは日本の政治にとっても、インド太平洋地域と世界全体の国際政治にとっても図りきれない大きな損失である。
この死に対しQUAD各国やNATO各国、そして多くのアジア国の首脳や要人からは、「自由と繁栄の弧」の理念と「自由で開かれたインド太平洋」の構想を実現させた安倍首相の功績とその先見性に対する絶賛の声は数多く寄せられている。
その意味するところは、まさに「安倍死すとも中国包囲網は死せず」であって、安倍首相が亡き後でも、彼が提唱し推進してきた、独裁国家の中国から自由世界の価値と安全と平和を守るための地球戦略の理念と形が生き続けて、それはこれからも、習近平中国の覇権主義的膨張を封じ込めるための大きな力となっていくのであろう。
ここでは最後1つ、それこそ中国の故事から生まれた、「死せる孔明、生ける仲達を走らす」ということわざを想起するべきであろう。これからの世界はまさに、「死せる安倍、生ける近平を成敗す」となっていくのではないだろうか。