2022.07.22
# マンガ

ニッポン製造業の「匠の技」が込められている…「缶詰マンガ」が今、大注目を集めているワケ

私たちが作っている『おとなの週末』では年に一度くらい特集を組んでいる食品がある。味のバリエーションも美味しさも年々増しており、食卓の主役としておかずにもツマミにもなる、“無限の幸せ”が詰まった缶詰だ。中でもご当地ものあり、ブランドものあり、味付けも醤油味にカレー味、イタリアンもありという特にサバ缶が注目を集めていて、誌面でも食べ比べをして味のランキングなどを発表していたりもする。

さて、今年はどんなテーマで缶詰を紹介しようかと思っていたところ、1冊の漫画に出合ってしまった。青年漫画誌「イブニング」で連載中の『羽衣先生は今日もカンヅメ』(華鳥ジロー)だ。

『羽衣先生は今日もカンヅメ』(華鳥ジロー)単行本第1巻が7月22日より発売

タイトルに加え、羽衣青葉に稲葉ニチロー、さらに国分さんや山城先生……これら作品に出てくる登場人物の名前だけで、この作品がどんな漫画なのかわかるはず。わかるわけがないよという方に、ではもう少しヒントを。果実にサバに焼き鳥、スパムなどなどと多ジャンルが揃っている。となれば、はい、そうです。本作は、“世界でも日本の消費量がトップで、匠の技がこめられた逸品”である缶詰を紹介するグルメ漫画なのだ。これまでカレー、ラーメン、寿司、蕎麦などさまざまなジャンルの食漫画が描かれているが、缶詰をテーマにした連載漫画は史上初!ということもあってこの作品、7月22日の単行本発売前からかなり話題となっている。

 

缶詰に詰まった歴史とロマン

缶詰がグルメ? と言うなかれ。

その歴史は古く、約200年前に遡る。かの皇帝・ナポレオンが味と保存性に優れた食料を兵士たちに提供できないかとアイデアを募集。それに応えたフランス人、ニコラ・アペールの手によって1804年、調理済みの食品を詰めて、加熱殺菌する瓶詰めが発明された。味・保存性ともにナポレオンの要望に応えたものではあったが、しかし瓶詰めには重くて割れやすいという欠点も。その後、1810年にイギリス人、ピーター・デュランが発明したのが、金属製容器に食品を入れる缶詰だ。味・保存性はもちろん、軽く、割れづらく携帯にも向いている。これが、現在の缶詰の原型となった。

『羽衣先生は今日もカンヅメ』(華鳥ジロー)

缶詰はさらに発展を続けていく。1812年にはブライアン・ドンキンとジョン・ホールがイギリスに世界初となる缶詰工場を設立。ただし、ハンダ付けで蓋をしていたので1日に60〜70個ほどしか生産ができなかったという。しかも当時は缶詰が厚く、のみとハンマーで開けるという代物だったそうだ。その後アメリカに渡って製造が本格化された缶詰は、南北戦争で軍用食料として急激に需要を伸ばし、結果、近代的な食品工業として発展していくことになっていく。

日本で最初の缶詰が誕生したのは少し遅れて1871(明治4)年、長崎県でのこと。松田雅典氏がフランス人の指導の元、イワシの醤油漬缶詰を作ったのが最初と言われている。その後、1877(明治10)年10月10日(ゆえに10月10日は“缶詰の日”になっている)には北海道に日本初の缶詰工場となる北海道開拓使石狩缶詰所が設置され、さけ缶の製造が開始された。最初は満足のいく品質ではなかったそうだが、翌年からは輸出も試みられることに。

ずらりと並べてみました(写真/小島昇)

そんな歴史を経て、現在の日本では長期保存という従来の目的だけでなく、さらなる美味しさを求めて鮮度や産地など原材料の質にこだわり、保存料や殺菌料を使用しない製造法だけでなく、アルミの使用や缶切りのいらない形状など缶自体をも進化させた。そして、さけ、サバ、カニ、焼き鳥、カレー類、牛肉、ソーセージ、果実、ケーキ類など実に多岐にわたる製品を製造しているのである。

どれも美味しそう!(写真/小島昇)

というわけで缶詰はグルメなもので、その缶詰の美味しさ、魅力を伝えるのが本作なのだ。

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