インフレで年金、健康保険に頼れなくなる中、どう生き残ればいいのか

トルコがやばい、そして日本も

トルコ国民が「馬鹿げた実験」の犠牲になっている

1月20日公開「我々がトルコに学ぶべきこと―インフレ対策『言うは易く行うは難し』」において、エルドアン大統領の「社会実験」によって、トルコが未曽有のインフレに見舞われていることについて述べた。

インフレでトルコリラ暴落続く イスタンブールの両替店   by Gettyimages

どのような「社会実験」かについては、同記事で詳しく述べた。インフレ期には「禁じ手」とされる低金利政策を、「金利を下げればインフレも収まる」という珍妙な論法で正当化しているというわけである。

結局、エルドアン氏は、経済原理を無視して「俺の言う通りにやればすべてうまくいく」という、6月6日公開「政治家、学者、評論家はなぜこうも経済音痴ばかりなのか」で論じた人々の典型だといえよう。

半年前の記事では、2021年12月の消費者物価指数が前年同月比36%も上昇したことに触れたが、世論調査では市民の6割強が「物価上昇率は100%以上だ」と回答している、

そして、エルドアン氏をあざ笑うかのように、現在は日本経済新聞7月4日の記事「トルコでインフレ加速、6月は78.6%上昇 統計に疑義も」という状況だ。

政府統計が36%の時に、市民の実感が100%以上であったのだから、同統計が78%を超えた現在、市民の実感がどのようになっているのか恐ろしい限りである。

例えば、単純に数値を倍にして市民の実感が200%であるとすれば、150円のペットボトル飲料が450円、380円の牛丼が1140円になるということだ。また、光熱費が3倍にもなったら、低所得者層を中心に家計破綻が相次ぐはずである。

また、政府統計の中でも交通費の上昇率は123%と突出しているが、日本経済新聞7月12日の記事「大型連休中のトルコ、料金高騰でバス利用3割減」のような状況だ。

トルコ市民は、エルドアン大統領の「インフレなのに低金利を維持する」という「社会実験」のおかげで悲惨な目にあっているといえよう。

それでは、同じく「(世界的)インフレなのに低金利を維持する」という「社会実験」を行っている日本はどうか?

2月26日公開「強烈インフレを目の前にして黒田日銀は日本をトルコにするつもりか」という心配を今でもしているが、幸いにして消費者物価はまだターゲットレベルの2%近辺である。

 

だが、産経新聞7月12日記事「6月企業物価指数は9.2%上昇 指数は過去最高に」という状況だ。しかも同記事によれば、円ベースの輸入物価指数の上昇率は比較可能な期間で最大の46.3%であった。エネルギー、食料価格の高騰だけでは無い。低金利の堅持による(内外金利差の影響による)最近の円安が1ドル140円に迫る勢いであることが当然影響している。

現在は、国内の製造、流通、小売の各段階の企業がクッションになっている。しかし、原油や天然ガスなどのエネルギーのほとんどを輸入に頼り、カロリーベ―スの食料自給率がたった37%しかない日本が、長期的に世界に吹き荒れるインフレの圏外にいることができるなどと考えるのは甘すぎる。

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