2022.08.02
# ビジネス

「ガリガリ君」が値上げして、売れ行きダウンどころか「販売本数アップ」したワケ

ネガをポジに変えた赤城乳業の取り組み
2016年、赤城乳業の人気商品「ガリガリ君」が、60円から70円へと値上げされた。消費者から反発があったのでは……と思いきや、むしろ感謝され、売れ行きも上がったという。一体、どうしてなのか? これまで3万人以上を指導してきたマーケティング講師で、著書『売上の地図』がある池田紀行氏に、消費者の心をつかむポイントを教えてもらった。

価格は放っておくとどんどん安くなる

私たちはスーパーやコンビニ、家電量販店やECサイトで商品を購入する際、必ず価格を見て買うかどうかを決めている。

モノの買い物だけではない。日々利用する電車・バスの運賃、クリーニングや美容室、自動引落であまり意識することがない電気代やスマホ利用料などにも、すべて価格がある。最近ではメルカリなどのフリマアプリで商品の売買をすることが当たり前になり、個人でも価格を決める時代になった。

Photo by iStock
 

この世に流通するありとあらゆる商品・サービスには、ほぼ例外なく価格がついている。商売が「何かしらの商品やサービスを販売することで顧客を幸せにし、その結果として適正利潤を得ること」であるならば、消費者に買ってもらえる良質な商品・サービスをつくることと同じくらい、値付けは重要な意味を持つ。

にもかかわらず、価格戦略に関する理論や書籍、セミナーなどの学習機会は、戦略論やブランド論、広告や営業などと比べて圧倒的に少ない印象がある。

その理由は、いくら自社で価格戦略を策定しても、結局は競合と戦う市場原理の中で「ナショナルチェーンの棚に置いてもらえる価格」「消費者に買ってもらえる価格」に調整されていってしまうことが理由かもしれない。アンコントローラブルな要素が大きいのだ。

しかし、「売れないから値下げして売ろう」の繰り返しでは、一番安い商品を買う最安顧客を呼び込むだけで、利益率の低下とブランド価値の毀損に拍車をかけてしまう。

現代はあらゆる業界でコモディティー化による激しい価格競争が発生している超成熟期を迎えている。

著書『売上の地図』に収めた「利益の方程式」で示した通り、新規参入者の脅威、サプライヤーの交渉力、買い手の交渉力、代替品、既存企業同士の競争という5つの競争要因はすべて価格を下げ、コストを上げ、その結果として収益性を低下させるドライバーとなる。価格は放っておくとどんどん安くなるのだ。

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