現代の日本において、50歳までに一度も結婚しない人の割合を表した「生涯未婚率」は発表されているものが2015年度までだが、男性が28.25%、女性が17.81%。さらに1980年のデータを見ると、男性が2.6%、女性が4.45%(※)なのでこの40年間で「爆上がり」していることがわかる。また、構成割合をみると、「夫妻とも初婚」は減少傾向となっており、「夫妻とも再婚又はどちらか一方が再婚」は上昇傾向にある。昭和50年には12.7%だった割合が、平成 17年には 25%を超え、平成 27 年は 26.8%となっている。つまり、生涯結婚しない人の数が増加する一方で、何度か結婚する人の率も増えているため、「非婚時代」と言われているのだ。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「非婚時代と言われていますが、浮気調査依頼は増えています。というのも、ここ10年ほど、恋愛が得意な人同士が、何度も恋愛・結婚を繰り返している傾向があるからです」と語る。つまり、再婚の夫婦間での浮気調査が増加しているということになる。山村さんは離婚調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。今回彼女のもとに相談にきたのは、この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/jinkou/tokusyu/konin16/dl/gaikyo.pdf
互いに「相手の浮気」で離婚
今回の依頼者は波奈さん(仮名・43歳)です。所作が美しく、上品な雰囲気。「優美」という雰囲気の女性です。大手企業の役員秘書をしています。しかし、会話ではよく「わたしなんて」とおっしゃっていました。このように「自分を下げる人」は、ある種の男性から絶大な人気があります。といっても波奈さんはモテるために自分を下げているというよりも、素敵なのに自己肯定感が低いようにも見られます。
「夫(40歳)とは1年半前に出会い、半年前に結婚したんです。彼はワインバーの雇われ店長をしつつ、自分もお店に立っています。彼は海外のホテルでバーテンダーの修行をしており、カクテルもとてもおいしいんですよ。ドリンクの専門家として、かつては歴史あるレストランでソムリエとして働いていたのですが、コロナもあって、今のお店に引き抜かれたのです。彼からしたら“都落ち”という感じだったんでしょうね。だから私なんかと付き合ってくれたのかも」
波奈さんも夫もお互いに離婚経験があり、しかも原因は「相手の浮気」と全く同じでした。波奈さんは27~37歳までゼネコン勤務の元夫と婚姻生活を送っていました。しかし、元夫は結婚10年目に部下の女性を妊娠させてしまったそうです。
「しかも、この部下の女性も既婚者だったそうです。このとき、私自身はなかなか妊娠がしにくくて不妊治療を考えていたところ、元夫が浮気した部下が妊娠でしょ。悔しいやら悲しいやらで10キロ痩せました。この世の終わりって感じです。もう身を引くしかありませんよ。友達は弁護士を立てて慰謝料をもらうことを勧めてくれたんですけれど、彼女のお腹には元夫の子供がいる。これから育つ命に責任を負う人からお金をふんだくることはできなくて。でも、元夫はいい人なんです。やせ衰えた私を見て、300万円と引っ越し代を出してくれました」
