2022.07.19
# エンタメ

ショパンコンクールで世界2位になった男は、なぜ毎日ポテトチップス1袋を食べ続けたのか《集中連載・反田恭平という人生(2)》

反田恭平という人生(2)

ショパン国際ピアノコンクールで昨年世界2位の快挙に輝いた反田恭平は、いったい何を考えて生きたのか。その規格外の人生を追う集中連載、第2回。

連載第1回はこちらから

30センチの体格差をどう克服するか

ショパンコンクールに臨むまでの反田恭平の努力は、さながら4年に一回のオリンピックに心血を注ぐスポーツ選手の如しだ。

ショパンコンクールに臨む反田恭平のニュースを見ながら、「ずいぶんポッチャリ体型のピアニストだな」という印象を抱いた人も多いと思う。反田がポッチャリ体型であることには理由がある。ショパンコンクールを勝ち抜くために、わざとふくよかな体型に肉体改造したのだ。

〈コンクールではミリ単位どころか、1ミリ以下の精度で指を動かし、自分が表現したい音色を奏でる必要がある。自分の思うがままに演奏をコントロールし、精密機械のような精度で感情表現を形にするために、大胆な肉体改造が必要だった。〉『終止符のない人生』126ページ)

〈ラフマニノフの身長が2メートルもあったのは有名な逸話だ。ロシアでの留学中も、身長が200センチもあるピアニストと何人も出会った。僕の身長は170センチ、体重は49キロしかなかった。30センチもの体格差は、とてつもなく大きなハンディだ。そのハンディを埋めるためには、増量するしかないと思った。

 

ピアニストは指が命と思う読者もいるかもしれないが、僕たちが演奏するときは、目に見えないところで全身の筋肉をくまなく動かして指先をコントロールしている。アスリートと違って、ピアニストは痩せぎすである必要はない。お腹がデップリ太っている体型のピアニストは、とてもふくよかで深みのある音を奏でるものだ。

そこでポテトチップスを毎日1袋食べ続けたり、炭水化物の摂取量を意図的に増やしたりしながら、体を大きくしていった。僕のビジュアルが以前にも増して大きく見えるのは、ショパンコンクールで満足のいく演奏をするために、わざとそうしたのだ。〉
『終止符のない人生』127ページ)

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