なぜ信じるのか。脱会信者が赤裸々に明かす「統一教会」の手口
人間を追い詰めるカルトの実態「サタンへの恐怖心」から献金してしまう
「私自身も、統一教会の『信仰二世』です。母親(70代)が'90年代に入信しました。私も子供の頃から教団施設に連れて行かれ、統一教会の教えが絶対だと思って生きてきた。年代も近く、母親が信者という共通点もあって、山上(徹也)容疑者のことが他人事のように思えないんです。
たしかに山上容疑者は許されないことをしました。しかし、彼の母親は自己破産するほどのおカネを統一教会に搾り取られた『被害者』であり、そんな母親がいる家庭で育てられた山上容疑者もまた『被害者』です。山上容疑者が統一教会によって追い詰められていった背景も調べてほしいと思います」
こう話すのは、世界基督教統一神霊協会('15年に「世界平和統一家庭連合」に改称。本稿では統一教会と記す)元信者のAさん(40代女性)だ。統一教会は、'54年に文鮮明('12年に死去)によって韓国で創設され、「合同結婚式」や「霊感商法」などでたびたび社会問題になってきた。

山上容疑者は、
〈母の入信から億を超える金銭の浪費、家庭崩壊、破産…この経過と共に私の10代は過ぎ去りました。その間の経験は私の一生を歪ませ続けたと言って過言ではありません〉
と綴った手紙を送っていたと報じられた。
事件を受けてフランスの経済紙レゼコーは、「統一教会は欧米ではカルト宗教と認識されている」と報じた。
Aさんは、自身が経験した統一教会の実態を生々しく証言する。
「私の家族の場合、毎月36万円が『献金ノルマ』でした。献金額が営業の成績表のように貼り出されていて、クリアできなかったら翌月に繰り越され、借金のように膨れ上がっていくんです。払えないと親戚や友人に借金をしたり、カードローンを組んだりして払う人もいます。