2022.07.21
# エンタメ

【話題沸騰】やりたいことだけをやるために、反田恭平がピアニストとして決めたルール《集中連載・反田恭平という人生(完)》

反田恭平という人生(完)

ショパン国際ピアノコンクールで昨年世界2位の快挙に輝いた反田恭平の初の著書『終止符のない人生』がいよいよ発売された。そこで初めて明かされた反田誕生の秘話を紹介する集中連載の最終回をお届けしよう。

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経営者でもあったモーツァルトやベートーヴェン

反田恭平は、プレイヤー(ピアニスト)だけに徹して活動する音楽家ではない。指揮者を務めつつピアノも弾く音楽家は、反田以外にも何人も顔と名前が思い浮かぶ。彼の特異な点は、株式会社の経営者でもあることだ。

2021年5月、反田が手がける楽団「Japan National Orchestra」が株式会社化されることが記者発表され、世間を驚かせた。公益財団法人がオーケストラを運営する例がほぼすべてである中、株式会社としてオーケストラを回していこうというアイデアは突飛だ。

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株式会社の代表取締役社長でもある反田の新刊には、「ビジネス書」の要素もふんだんに織りこまれている。

〈ピアニストでありながら、経営者としての顔ももつ人は日本では少ないと思う。音楽でご飯を食べていく方法を自分の頭で考え、スタッフの人件費を稼ぎ出し、ほかの音楽家の生活費まで心配する。そんな経営者の仕事にかまけていたら、練習時間と自分の持ち時間を奪われてしまう。

 

でも考えてもみてほしい。音楽家が演奏のことだけを考え、演奏だけに専念できる時代なんて、歴史を振り返れば決して長くない。モーツァルト(1756〜91年)やベートーヴェン(1770〜1827年)は自分でピアノを弾いて作曲活動をするだけでなく、オーケストラの指揮者を務め、演奏会を企画してパトロンへの挨拶回りまでやっていた。プレイヤーとして活動しながら、自ら先頭に立って資金繰りに奔走し、経営(お金のやり繰り)を実践していたのだ。

どんなに素晴らしいプレイヤーだとしても、演奏の素晴らしさを宣伝し、ファンを呼びこむマーケティングが欠けていれば客席は埋まらない。モーツァルトやベートーヴェンはそこまでこなしていた。〉
『終止符のない人生』148〜149ページ)

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