「あんたは英雄だよ」
「徹也君 たった一人でよく頑張った」
7月16~18日の連休中、安倍晋三元首相を銃撃して逮捕された山上徹也容疑者のTwitterアカウントが発見され、話題を集めた。だが、衝撃的だったのは容疑者自身の投稿より、冒頭のコメントをはじめとした数々のリプライである。
さぞかし、彼の凶行を非難する声が殺到しているのかと思いきや、凶行を肯定するような声が多数派だったからだ。その一部を以下に列挙する。
「あんたは英雄だよ」
「君のお陰で沢山の人が救われたよありがとう」
「山上徹也は世界を変えた」
「山上さん、自分を責めて死なないでくださいね。応援してます」
山上容疑者のアカウントは、2019年10月に書き込まれた「オレが憎むのは統一教会だけだ。結果として安倍政権に何があってもオレの知った事ではない」という決意表明のような投稿で始まっている。

その後、彼の家族を崩壊に至らしめたとされる統一教会への恨みつらみが綴られていたが、安倍元首相の政策については好意的ともとれる投稿が残されていた。ツイートの内容を見る限り、「政治信条に対する恨みではない」という逮捕直後の山上容疑者の供述とも矛盾はない。
凶行へと至るまでの心理状況をのぞかせた本人による手記が、ネット民たちの関心をひかないはずもなかった。山上容疑者アカウントは、ネット民によって発掘されてから数日で凍結されたが、その間にひとけた台だったフォロワーは4万人以上に急増した。
冒頭で示した通り、その中には山上容疑者の共感する人が少なからずいた。たとえば中国のネット上であれば、安倍氏が首相在職中に靖国神社を参拝したことへの反感などから、山上容疑者を賛美する声が上がったことも理解できる。
しかしなぜ日本で、容疑者に賛同する声が上がったのだろうか。