2022.08.17
# 生態学 # 海

深海の頂点捕食者"ヨコヅナイワシ"撮影秘話!

深海生態系の謎に挑む vol.1

ヨコヅナイワシ撮影成功! このニュースは、今年7月に大きな話題となりました。2000メートルより深い海に暮らす深海固有種として「ヨコヅナイワシ」が世界最大の硬骨魚類であることが報じられた瞬間でもあります。

日本の南方にある海山で生きる巨大なヨコヅナイワシ。深海生態系における食物連鎖の頂点に君臨する「トップ・プレデター」(頂点捕食者)。このヨコヅナイワシはこれまでに合計6匹しか採集に成功していないという、非常にレアな生き物です。

そこで、今回の大発見に至る経緯や研究の裏側、さらにそこから何がわかるのかを、JAMSTEC(国立研究開発法人海洋研究開発機構)の藤原義弘上席研究員に聞きました。

【写真】藤原義弘上席研究員JAMSTEC・藤原義弘(ふじわら よしひろ) 上席研究員

深海2091メートルに映った魚の正体は!?

2021年10月14日、私たちの研究グループは、伊豆半島から南に400キロメートルほどの沖合にある元禄海山の近くに到着したJAMSTECの研究船「かいめい」から、ベイトカメラ(写真1)を投入しました。ベイトカメラとは、水温や水流を測定する各種機器やライトのほかに、深海生物をおびき寄せるためのえさ(ベイト)がセットされたカメラです。

ベイトカメラは1時間以上かけてゆっくりと沈み、水深2091メートルの「元禄海山」南方の海底に到達しました。カメラは映像を13時間撮影することができます。撮影終了後、カメラは音響信号を受けて錘(おもり)を切り離し、海面まで浮上します。

そして、今回の調査で回収したカメラに写っていたもの、それは全長250センチメートル以上もある巨大なヨコヅナイワシでした。また、映像ではえさに近寄ってきたほかの深海魚を威嚇する貴重な様子なども撮影されていました。

写真1 ベイトカメラ 手前の黒いかごにえさが入っている。(提供:JAMSTEC)

実は、1回目の調査で撮影に成功していた!

2020年の調査で、この海山周辺にヨコヅナイワシがいるのではないかという情報を得ていました。2021年の調査では、計9回カメラを下ろしていますが、ヨコヅナイワシが写っていたファイル番号は「1-1」でした。まさに1回目からいきなりヨコヅナイワシが写っていたのです。

今回使ったカメラは、水深2000メートル台の深海を撮影するために新しく開発したもので、現場で使用するのは初めてでした。1回目の調査では、ベイトカメラを平らな海底に着底させて、きちんと映像を撮って戻ってこられることが確認できれば十分だと考えていたんです。

関連記事