2022年6月、政府は『2022年版男女共同参画白書(*)を発表した。これは、内閣府が実施した結婚や収入に関する調査だ。これによると30代の婚姻歴がない独身男女は、4人に1人が「結婚願望なし」と回答。その理由としては「自由でいたい」、家事育児の負担、経済的不安などがあった。

キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「30代に結婚願望がない人が、40代近くになり“子供のために”と結婚する人は多いです。ただ、40代になるとお互いに生きてきた“重み”のようなものがある。結婚前に調べておけばと後悔する人もいます」と語る。彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。

今回山村さんのところに相談に訪れたのは、39歳の資産家令嬢で、政府系シンクタンクに勤務するキャリア女性。生活には何不自由なく、とても仲のよい両親を見て「結婚をするとしたら両親くらい魂が好きあう相手とならいいけれど」とも思っていたのだという。結婚願望がなかったピュアな女性だったともいえる。では彼女がなぜ悩んで相談に来たのだろうか。この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。

山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
山村佳子さん連載「探偵が見た家族の肖像」これまでの記事はこちら
*内閣府「男女共同参画白書」(2022年)
https://www.ipss.go.jp/syoushika/tohkei/Popular/P_Detail2022.asp?fname=T06-23.htm
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38歳で初恋をした資産家生まれのキャリア女性

今回の依頼者は美枝さん(39歳・仮名)。政府系のシンクタンクに勤務するハイキャリアの女性です。名門私立大学を卒業してから海外の大学に留学したという学歴の持ち主。母親は明治維新の功労者の末裔、父方は戦前の新興財閥の創業者を先祖に持つそうです。
だからでしょうか、どこはかとない威厳があり育った環境を物語っています。美枝さんは私の事務所の常連の依頼者さんからの紹介でいらっしゃいました。

美枝さんの容姿は、堅実で控えめな雰囲気。現在、39歳とのことですが、どう見ても20代の後半のようにピュアな印象があります。両親に愛され、仕事にも金銭的にも恵まれた育ちのいい方だなと感じます。

「結婚半年なのですが、人を好きになるとは、こんなに苦しく辛いことなのですね」と美枝さんは語ります。聞けば、現在は適応障害との診断を受け、通院のために仕事のペースを落としているそうです。

「結婚生活には理想がありました。私は両親の仲が良く、父や母のようにお互いに信頼し、愛し合う人となら結婚したいと幼いころから思っていました。父も母も会社を経営しており、公私ともにパートナーとして深くお互いを必要としている。今、親は70代前半なのですが、未だにキスしたり、デートをしたりしているんですよ。そういう“魂の双子”のような人となら、結婚したいと思っていたのです」

若い頃はそれなりに恋愛をしていたものの、相手のことは好きになれなかった。そのうちに気が付けば38歳になっていました。

「その年まで、全く結婚願望は全くありませんでした。ウチの一族に、外部の血が入ることを危惧する気持ちがありました。兄たちは善良で優しい人々と結婚しています。私がそんな人と出会えるとも思えないし、そもそも、相手を好きにならないんです」