昆虫が好き! という少年時代からの純粋な興味を追究し続けた結果、生物学者になった“福岡ハカセ”こと福岡伸一さん。最先端の分子生物学研究を経て、生命全体のありようを探求する福岡さんは、現在、青山学院大学教授、ロックフェラー大学客員教授として研究を続ける傍ら、『生物と無生物のあいだ』(講談社)、『新ドリトル先生物語 ドリトル先生ガラパゴスを救う』(朝日新聞出版)など文学や美術への造詣も深く、文筆家としても数多くの著作を発表。ジャンルの垣根を超えて、今なお尽きることのない好奇心にあふれている大人だ。

今回、福岡さんに8月1日から募集開始となるFRaU主催『FRaU SDGs eduこどもプレゼン・コンテスト2022』の選考委員をつとめていただくにあたり、子ども時代の夏休みの思い出や、子どもの「好き」という気持ちを育むための親の心がまえなどをお伺いした。前編【好きを追究して生物学者に…福岡伸一さんが語る、原点にもなった「夏休みの自由研究」】に続く後編です。

子どもが成長するためには、ひとりでいる時間が必要

自分の中に沸き上がったセンス・オブ・ワンダーに突き動かされながら、夏休みの自由研究に取り組み、本から情報収集することで、“好き”を“学び”に変えていった福岡さん。ひと月以上ある夏休みの長い時間が、昆虫少年を現在のハカセに成長させたといってもいい。

「私自身の体験から言っても、子どもが成長するのは“ひとりでいる時間があること”だと思うんです。ひとりで何かを観察する、ひとりで何かを読む、ひとりで自分の好きな世界と対面する。何かに目を凝らしたり、耳をすませたりする時間です」

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夏休みというと、どうしても親はサマーキャンプやイベントなど、学校とは違うアクティビティに子どもを参加させなければと思ってしまいがちだ。

「親としては、そのほうが楽ちんですし、それでいろんなことを学んで帰ってくれたら、それはもちろんいいと思います。でも、子どもが本当に育つためには、ひとりの時間が非常に必要だと私は信じているんです。だから、夏休みのような長い休暇は、ひとりになって、何か自分の好きなこととじっくり向き合ってみてもいいんじゃないかなと思いますね」

誰だって、好きなことに夢中になっているときは、時間がいくらあっても足りないほど。夏休みは好きなことに思う存分、打ち込むことができる絶好の機会だ。とはいえ、子どもがまだ自分の“好き”を見つけられていない場合は、どうすればよいのだろうか。