岸田首相の「資産所得倍増プラン」、じつは日本からの「資金流出」リスクを抱えていた…!

岸田文雄首相が資産所得倍増プランを打ち出すなど、政府が国民に対して資産形成を促している。日本人の資産運用は銀行預金が中心であり、投資へのシフトは進んでいなかったが、最近では、将来の生活に不安を抱える若年層を中心に関心が高まっているとされる。だが一連の政策に落とし穴はないのだろうか。

資産の半分以上が現預金

日本における家計部門の金融資産は2000兆円突破しており、このうち現預金が半分以上を占めている。米国では約10%、欧州でも30%しか現預金の比率はなく、日本人の現金好きは突出している。政府も以前から「貯蓄から投資へ」というスローガンを掲げ、投資へのシフトを促してきたが、日本人の行動はほとんど変わらなかった。

ここに来て政府が、少額投資非課税制度(NISA)の拡充など、投資促進策を強く打ち出している背景には、年金財政の悪化がある。日本の公的年金は維持可能性に疑問符が付く状態となっており、少なくとも2割から3割の減額は確実と言われる。

一方、日本人の所得は伸び悩んでおり、このままでは老後の生活を維持できない国民が急増する可能性が高い。公的年金の不足を補うため、政府はやむなく、自己責任での投資を促しているというのが偽らざるを現実である。

〔PHOTO〕iStock
 

こうした事情が背景にあるとはいえ、個人が積極的に資産形成を行う必要性は以前から指摘されており、証券投資を促す方向性自体は間違っていない。だが、今の日本の経済状況において投資促進策を誤った形で実施すると、場合によっては経済にマイナスの影響を与える可能性もある。最大のリスクは資金が日本ではなく海外に流出するキャピタルフライトだろう。

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