ワクチンは効かない、社会は二重構造、中国コロナ都市封鎖の惨状再び

ついに米国に頭を下げファイザー導入へ

中国ではあいかわらず、新型コロナ防疫でモグラ叩きの事態が続いている。

上海の2カ月に及ぶ都市封鎖は、やっと6月1日に解除された。感染爆発を止めることができず、深刻な医療崩壊を起こし、対応策は2年半前、武漢で行った最初期のものだった都市封鎖に戻ってしまった。その結果、中国でも有数の経済都市の機能が長期に停止し、中国経済に重大なダメージを与えた。

上海・新型コロナワクチン防疫  by Gettyimages

だが、半月もたたないうちに、中国の主要な都市で、伝染力の強い変異株、オミクロンBa5がひろがり始めた。またしても都市封鎖が必要になるかもしれない。その場合、上海のように立場の弱い住民が大量に犠牲になる可能性がある。

なぜいまだにこのような混乱の中にいるのか。根本的原因を探っていくと、まず中国製ワクチンの効果に問題がある。そしてなにより「民生よりも党略」の中国共産党の在り方、そのための中国独特の社会の二重構造にぶつかる。その断面をずばり示す典型が上海である。

感染拡大を繰り返す中国製ワクチン

ファイザー社などのメッセンジャーRNAワクチンでは、新型コロナ肺炎に対する予防効果が、最初の接種でも90%と高い。他方、中国が開発した不活性ワクチンの予防効果は、65.9%と低い(供与先のチリでの結果)。免疫ができない34.1%の人たちが感染源として残り、そこから感染が広がるので、結局、厳しい都市閉鎖を中国は繰り返さざるを得ないのだ。

不活性ワクチンは薬液で病原性を失わせたウイルスなので、生産は比較的容易だが、人体の免疫機能が全体として高まるように刺激する程度以上の効果は期待できない。

メッセンジャーRNAワクチンは、ウイルスに対する抗体をつくる遺伝子そのものをつくる元の命令なので、的確に抗体ができる。だが、遺伝子操作の複雑な過程を要し、作ったRNAを特殊な脂質で包まねばならず、自動生産設備を組み、工程を管理するのが難しい。中国は国産を試みたが、成功しなかった。

 

ついに背は腹に替えられずで、アメリカのハネウエル社と契約することになった。いつから工事が始まったか不明だが、2022年末に完工予定と伝えられる。工場の場所は、山深い雲南省玉渓市だ。そこが選ばれたのは、人の目につきにくいからではないか。

アメリカ政府がハネウエル社の契約を承認したのは、工場がIoT、インターネットを
通じての遠隔操作なので(生産データの記録も含む)、いわばアメリカの監視下だから、差支えなしというわけだ。

中国の新ワクチンが出荷されるのは、来年からだろうが、アメリカの技術だと知られたならば、中国の威信はガタ落ちだろう。中国政府が何と言い繕っても、恰好が悪いことはおびただしい。

なおファイザー社は、アフリカのルワンダと、アジアではシンガポールに新しくワクチン生産工場を開く予定と伝えられる。日本は自前のメッセンジャーRNAワクチンをいつ生産できるようになるか、見通しも立っていないようだ。

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