先端分野で上位100校入りを3倍にする必要がある
日本の大学は工学部で強いと思われているのだが、強いのは、古いタイプの工学部なのだ。例えば、機械工学だと、世界100以内の大学数は4校になる(東大20位、東工大43位、京都52位、東北72位)。コンピュータサイエンスに比べて、数も多くなるし、順位も上がる。
機械工学は、1980年代頃までの世界で重要だった学科だ。日本では、それが、いまでも工学部の中で大きな勢力を持っていることが分かる。そして、これは、現実の日本産業で、自動車産業が強いことに現れている。
自動車産業は、いま大きな技術革新に直面している。とりわけ重要なのは、自動運転が進展し、自動車においてもコンピュータサイエンスの重要性が増すことだ。そのような世界において、日本の自動車産業が対応できるかどうか、大いに疑問だ。
日本が目指すべき目標としては、コンピュータサイエンスの分野で世界ランキング上位100校に入る大学数の日本シェアを、日本のGDPシェア(5.9%)と同程度にすることが考えられる。
そのためには、上位100校に入る日本の大学数を6校にする必要がある。いまの2校に比べて3倍にする必要がある。
このようにして初めて、他国と同じ水準の研究・教育水準を、コンピュータサイエンスの分野で実現できることになる。