ケアとは何なのか…?

コロナ禍になって、主にケアに携わるエッセンシャルワーカーたちの仕事がにわかに注目を集めた。彼らの職業である保育や介護、医療やサービス業は、人と接触しなければ成り立たないため、リモートワークをするわけにはいかない。

ケアと言えばまず、医療や保育、介護が連想されるが、飲食業や理美容院、エステなどのサービス業もケアワークと言える。ケアとは、人が人をいたわり癒す、尽くすこと全般を指すので、サービス業の人に尽くしてもらい、疲れた自分を回復させるのも、ケアをしてもらうことと言える。

また、1日の終わりに1杯飲むのも、趣味に没頭して仕事や家のゴタゴタを一時忘れることも、井戸端会議で発散するのもケアである。

とはいえ、今回考えたいのは、育児や介護などの家族に尽くすケアについてである。経済的に自立しようとする主婦たち、シングルペアレント、独りで介護を引き受ける男女は、ケアと仕事の両立という壁にぶつかる。なぜ、その人たちが両立に悩まなければならないのかを考えることが、今回のテーマである。

Photo by iStock
-AD-

ケアが「女性の仕事」になるまで

世界的には近代になるまで、ケアは生活に組み込まれていて、仕事もケアや家事も日常の中で回っていた。ところが産業革命によって企業社会になり、家と職場が分かれると、家庭内で行うケアと外に出かけて行う仕事が両立しがたいものとなる。男性が仕事に出かける一方で、ケアする役割を引き受けるため家にとどまったのは、女性たちである。だから、ケアと仕事の両立に悩み始めたのは、女性が先だった。

人は誰しも自分の人生の主役であるはずだが、ケアワーカーは自分を脇に置いて、相手に尽くさなければならない。一般的な仕事も、自分が主役というより顧客などに尽くすものと言える要素はあるが、仕事にはオフがある。ところが、家庭内でケアを引き受ける人には休日がない。ケアワーカーはケアする間、人生の主役として生きることが難しくなるのだ。