エネルギー逼迫と不景気に耐えかねて、ドイツ政府が「対ロシア制裁」を外す可能性

方向転換のきっかけは意外と早く訪れる

ドイツ新政府の7ヵ月

12月に発足したドイツのSPD(社会民主党)政権だが、この7ヵ月間、これといった成果はあまり思いつかない。

まずは、7月に国会を通った、性別変更を簡易化する法律。これにより、14歳以上であれば、自分が男と思えば男、女と思えば女に、随時、性別を変えられるようになった。ただし、18歳未満の場合は保護者の同意が必要で、保護者が同意しない場合は、本人の意見を尊重しつつ、裁判所が決める。なお、性別は何度でも変えられるらしい。

これまでの法律では、性別は体の形状で決めていたために時代遅れで、しかも、変更の手続きの際にいろいろな質問があり「屈辱的」だったそうだ。つまり、同法の制定は差別をなくすと言う意味で、現政権の大きな成果とされている。ただ、一般の国民もこれを大きな成果と評価しているかどうかは不明だ。

もう一つ、現政権が大々的に祝ったのが、最低賃金の大幅引き上げ。職種に関わらず時給12ユーロが、全国一律で10月より実施される。社会主義政策の醍醐味である。

その他、今年中に通りそうなのが、娯楽用大麻の販売自由化。ただ、これも国民の支持を得た「成果」なのかはわからない。

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一方、ウクライナ戦争、エネルギー危機、国防強化、コロナ対策などは、どれもまだ闇の中。肝心のショルツ首相は旗幟不鮮明で、影の薄いことが非難の対象になっていたほどだが、彼は老獪な政治家なので、今はなるべく目立たないことが得策だと踏んでいるに違いない。

現在の世界情勢や、ドイツの壊滅的なエネルギー不足に、ドイツ政府がこれまで敷いてきた政策で対応できるはずがないことは、常識的にモノを考えられる人なら誰にでもわかる。ショルツ首相にとっては沈黙が金だ。

 

ところが、それがわからないのが目立ちたがり屋の緑の党の面々。現在のドイツの政治は、まさに緑の党のベアボック外相とハーベック経済・気候保護相が司っており、それだけでも十分八方塞がりなのに、それをさらに悪化させているのがオツデミア農業相(緑)だ。

今、ドイツが一番必要としているのは、確かなエネルギー確保に向けての抜本的な方向転換のはずだが、緑の党の政治家たちはこれまでと同じラッパをさらに高らかに吹き続けている。

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