「浮島丸爆沈事件」から77年…なぜ北朝鮮はいまだに日本政府を非難し続けるのか

舞鶴湾で起きた謎多き大事件【前編】

毎年出される北朝鮮声明

毎年、8月24日になると、北朝鮮(朝鮮民主主義人民共和国)から日本政府を非難する声明が必ず出される。

「『浮島丸』爆沈事件が(日本)敗北に対する復しゅう心を持った日帝の計画的な大集団殺人犯罪事件であった」(『朝鮮中央通信』2021年8月24日)

特設巡洋艦時代の浮島丸(Wikipediaより)

「浮島丸爆沈事件」は、朝鮮人を殺すために日本が意図的に起こしたものだとしているのだ。2020年には『朝鮮中央通信』は、2つの記事を配信している。

「朝鮮人民は、『浮島丸』という名だけを聞いても、日帝殺人鬼に対するこみ上げる敵愾心(てきがいしん)を禁じ得ない。朝鮮人民は、百年、千年が流れても日帝の罪悪を絶対に忘れず、必ず血の決算をするであろう」

 

もう一つの記事は「朝鮮人強制連行被害者・遺族協会」スポークスマンによる談話である。

平壌(ピョンヤン)で、この団体を何度か取材したことがある。日本が行なった朝鮮植民地支配による被害者の組織なのだ。なお北朝鮮の被害者組織には、他に広島・長崎の被爆者たちによる「朝鮮被爆者協会」がある。

「被害者・遺族協会」の金勇傑会長

「日本当局は、血で塗られた過去を正当化することも、埋めることもできないということをはっきり銘記し、『浮島丸』事件の真相を究明し、その犠牲者と遺族に徹底的に謝罪し、賠償すべきである」

このように日本政府に対し、事件での死者と遺族への謝罪・賠償を要求した。2000年には、この事件を取り上げた劇映画を制作しているほどだ。

韓国でも2019年に、ドキュメンタリー映画『浮島号』が公開された。浮島丸の韓国人生存者と遺族たちが、日本政府を相手に訴訟を起こしたこともある。

北朝鮮や韓国が、「浮島丸爆沈事件」にいまだにこだわり続ける理由とは何か。それは、事件から77年経っても解き明かされていない大きな謎がいくつもあることが大きい。

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