2022.08.05
# 相続

杉並区在住の女性編集者が7500万円のマンションを没収されるまで

おひとりさまの相続はかくも難しい

相続における失敗の実例を前の記事『介護中の81歳母親を連れ去り、遺言書を作成した身勝手な妹の話』に引き続き紹介する。今回の記事では、「おひとりさま」特有の問題も交えて紹介していく。

遺言書がないばかりに……

Photo by iStock

(1)松方香里さん(享年73)は、素敵な女性だった。文京区の名門女子大卒業後は、神保町にある大手出版社に勤めて、編集者として40年近く働いた。退職後は趣味の写真を撮りに世界中を飛び回り、ときどき小さなギャラリーで個展を開いた。

いまや死語ではあるが、「オールドミス」という言葉のさびしさを微塵も感じさせない人だった。

「別に、香里さんの遺産をあてにしていたわけではありません。しかし、まさかこんな形で、大切な思い出のつまったマンションの部屋まで取り上げられてしまうことになるとは、思いもよりませんでした」

 

こう語るのは香里さんの従妹の綾子さん(55歳)だ。歳は離れているので、小さい頃から姪のように可愛がられ、旅行にもよく同行した。杉並区・西荻窪にある香里さんのマンションをしょっちゅう訪れて、料理をしてワインを飲んだ。

「よく、『私たち、本当の母と娘みたいね。でも、本当の親子ならここまで仲良くなれないかもね』なんて話したものです。お互いはっきり口に出すことはなかったものの、香里さんに介護が必要になったら私ができる限り手伝うつもりでしたし、彼女の遺産は私が相続することになるだろうと考えていました」

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