長年週刊誌や教育誌で編集者・ライターとして活躍してきた高清水美音子さんが障害者雇用の現場を伝える連載3回の後編。高清水さんは息子と夫を病気でうしなったのち、進行性の難病「多系統萎縮症」と診断された。一時は後を追うことも覚悟したが、「仕事をしよう!」と決意し、就職活動をすることに。

3回の前編では、希望の職種であるライター案件の面接に挑んだことをお伝えした。すぐにでも出社してほしいという現場の空気と異なり、「高名な先生になら原稿料を支払えるが、他の人はボランティアのようなものだ」と語る役員の方とのやり取りに、不安を抱く。

そして高清水さんが出した結論は……。

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自分から断ることにした

色々考えたけれど、役員の方との面接を終えた「カチコチ法人」には、週が明けて月曜早々に、わたしから辞退させていただく旨のメールを送ることにした。役員さんに言いたいことが言えるのは、採用される前の、今だけなのだ。入社したら、役員さんに言われたことには、ははーと言って、従わなくてはならないだろう。

それに、企画や仕事の進め方で、いろいろトラブルがありそうだ。「高名な先生」には10万円もお支払いをして、そうではない人は(たぶん、どんなに素晴らしい原稿を書いてくださっても)ボランティア程度……と言い放つところが、強く引っかかっていた。そんな風に上の人にだけいい思いをさせると明言する人が上にいる職場では……。何かのきっかけで役員さんに説明から説得、そこから役員さんが熱くなって、すぐにクビになりました、なんてことになるわけにはいかない。また障害者雇用で「なぜ辞めたんですか」とツッコまれることになるだろう。

「わたしは、役員様のご期待に沿えないようなので……」としつつ、「現場の皆さんがとても大変そうだったので」と書いて、広報誌づくりのアドバイスの文章も添えてメールを送った。まあ中身は、役員さんのさん言っていたことへの反論&正しい進め方のアドバイスだったのだけど。

メールでお断りの連絡を…Photo by iStock

「こういうサイトを見て、今後の参考にするといいですよ」
「世の中にはこういう業者もあります。でも、社内にひとりは編集をわかっている人がいないと、余計なオプションとかつけられて、余計なお金を取られますよ」
「途中で(役員さん……いや、誰かが、全部やり直せとか言って)大幅な変更をしようとすれば、追加料金がかかります」

などなど。いつもの人事の人から、「辞退されるとのこと、大変残念なのですが……(中略)アドバイス、感謝します。現場の者にも伝えます」といったメールがきた。
現場の皆さんー! 頑張ってくださいねー!