2022.08.02
「ウクライナ戦争の長期化」が中国の“責任逃れ”を利する理由 待ったなしの「国際通貨危機問題」の深層
途上国を借金漬けにしてきた中国
第2のスリランカはどこなのか――。
美しいビーチを売り物にしたリゾート産業に依存してきたインド洋の島国、スリランカの中央銀行のウィーラシンハ総裁は今年5月半ば、「わが国の対外債務が再編されるまで支払いはできない」と、自ら事実上のデフォルト宣言を行う事態に追い込まれた。
その後、スリランカ通貨の急落や国際商品市況の急騰で、経済危機が泥沼化。同国政府は食品や燃料の価格高騰と不足に対する抗議デモの鎮圧に失敗。ラジャパクサ前大統領が政権を放り出して国外脱出する大混乱が勃発した。
現在、新興国と途上国を見渡すと、「第2のスリランカ」候補が溢れている。通貨情勢を見ても、米ドルに対して、インド・ルピーとチリ・ペソが過去最安値を付けたほか、フィリピン・ペソはドルに対して17年ぶりの安値、タイ・バーツも同じく15年ぶりという安値を記録している。
そうした中で、「国際通貨制度の番人」と呼ばれる国際通貨基金(IMF)は「世界経済の見通し」を今年に入って3回連続で下方修正する一方で、トップのゲオルギエバ専務理事が新興国・途上国の債務再編に向けた国際協力の必要性を訴えているものの、途上国を借金漬けにしてきた中国など当事国の反応は鈍い。

そして先週(7月27日)、米国は他国の苦境を顧みず、今年に入って4回目の利上げを断行した。事態は刻一刻と緊迫の度合いを深めている。