2022.08.06
# 小松左京
# 筒井康隆
# SF
ショートショートの名手・星新一が長く愛される理由とは…魅力は「オチ」だけじゃなかった
SFの御三家
NHK夜ドラで、星新一のショートショートがドラマ化された。
『星新一の不思議な不思議な短編ドラマ』である。
短い短い小説が15分のドラマに仕立てられていた。
1話完結ドラマを続けさまに作るのは、とても大変そうである。
星新一のショートショートはとても短い。読みやすい、というか、読み切りやすい。一篇が文庫本で4,5ページ、さほど苦労なく読み切れる。
かつて、中学生あたりに人気であった。
小松左京の『日本沈没』が出たころ、つまり1970年代の前半、SFブームとも言うべき、ぼんやりしたムーブメントがあった。
1969年の月世界着陸のころから、何となく宇宙への関心が広がり、とはいえ、うっすらとして、ぼんやりとしたものだった気がする。
それはまだ十代前半だった私がうっすらぼんやりしていたからそう見えたのだろう。火星にはタコ的生命体が住んでいるはずだと、まだまだ世界の何割かが信じてそうな時代だった。そのようにおもっていた。
エドガー・ライス・バロウズのシリーズがまだ真剣に読まれていた時代でもあり(私は真剣に読んでいた)、ジャングルの奥地に探検する延長で、宇宙に探検に行こうというとしていたようなころであった。
そのころ日本のSF作家で人気だったのが、星新一と小松左京と筒井康隆である。
日本のSF界は「星新一が道を切り開き、小松左京がブルドーザーで地ならしをし、その道を筒井康隆がスポーツカーで駆け抜けていく」と表現されたことがあって(昭和時代に読んだうろ覚えの文章)御三家と呼ばれたこの三作家は、そういう登場順であった。