2022.08.04

森喜朗元首相が「血まみれ」で倒れ、集中治療室へ…一体、何が起きたのか

「ポスト安倍」をめぐる内幕
小倉 健一, 週刊現代 プロフィール

「安倍さんのお通夜に行けなかった」

話を冒頭に戻そう。7月10日の夜、森元首相は血まみれになって倒れ、集中治療室に救急車で運ばれた。一体、何があったのか。

この日は、安倍元首相が亡くなった2日後で、参議院議員選挙の投票日だった。この大事な日に、突如として連絡がつかなくなった森元首相について、メディアや政界では色々な噂が飛び交った。

まず、「不祥事から雲隠れしているのではないか」ということだ。現在、五輪組織委員会で理事を務めていた高橋治之氏が、大会スポンサーだった紳士服の「AOKIホールディングス」側から計4500万円超を受領したとされる事件が報じられている。それへの関与等があって、捜査が森氏にも及んでいるのかという憶測だった。

 

次に流れた憶測は、安倍派の後継者を巡って、森元首相への関係者からの連絡が殺到し、わずらわしくなって無視を決め込んだのではないのかということだ。

結果的に、この2つの憶測は憶測のままに終わった。ここで、月刊誌『正論』(令和4年9月号)へ寄せた森元首相の自らの告白を聞こう。

「(7月10日・参院選開票日の夜に)こともあろうに私は風呂場で倒れるんだよ。初めて救急車に乗せられて病院に運ばれた。風呂場だから真っ裸で血だらけ。半分無意識で救急車に揺られたりしているときに思ったのは、これは相当やばい」

「サイレンが鳴る救急車に乗せられて搬送される途中でなんとなく気を失った。集中治療室に一晩入れられたから、翌日の安倍さんのお通夜にはいけなかった」

「退場」を命じられた下村氏

「このことを知った安倍派の議員たちは『森さんがもはや死ぬ気がしなくなってきた』『あと10年は死なないのでは』と話していた」(安倍派関係者)という。安倍元首相の通夜への出席はできなかったが、葬式には足を運んだ。

では、85歳で、血まみれで集中治療室に入りながらも意気揚々な安倍派のドンは、安倍元首相の後継をどう考えているのだろうか。

森元首相は「少なくとも二年か、三年のうちに、五人(松野博一、西村康稔、萩生田光一、高木毅、世耕弘成)のうちで自然に序列が決まっていく」(同誌)と名前をあげた。

この森元首相の発言は極めて大きな意味を持つが、一つ一つ解説していこう。

まず、本来ならあってもおかしくない人の名前がない。それは、派閥会長代行の下村博文氏だ。安倍元首相は、生前に自身の後継として「松野、西村、下村、萩生田」の名をあげていたが、森元首相からは首相レースからの「退場」を命じられたようだ。

下村博文氏/photo by Gettyimages

森元首相は「みんなの一致していることは、下村博文だけは排除しようということ」「安倍さんは優しいから付き合っていたけど、やっと下村はいかがなものかということがわかってきた」と手厳しい。

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