2022.08.05
# ライフ

アスペルガー症候群の夫と結婚生活を送る「カサンドラな妻」が“3つの絶望”を経験して初めてわかったこと

仁科 友里 プロフィール

イェール大学心理学教授・ポール・ブルームの 『反共感論 社会はいかに判断を誤るか』(白揚社)によると、共感(empathy)は「心理学者や哲学者によってさまざまな定義が提起されており、9つの意味を列挙する本すらある」そうで、非常に曖昧な言葉であると指摘されている。

共感をすることのマイナス要素

同書では、心理学者のヴィッキー・ヘルゲソンとハイディ・フリッツが共感力の高い女性について調査した結果、「共感の罠」と言うべき、マイナス面について明らかにされた。一部、抜粋してみよう。

・共感性の度合いが高いと、多くの点で悪影響が生じる。
・他者を非常に強く気づかうが、他者からはあまり気づかわれないという非対照的な関係が報告されている。
・過度の共感性は「過剰に保護的、侵襲的、自己犠牲的であること」と結びついていて、他者が自分のことを嫌っている、よく思っていないという感情に結びついている。
・共感はバイアスの影響を受けやすい、数的感覚を欠く。
・嫉妬は共感の発露を妨げる。
・人は悲嘆にくれている人に共感したいと思わない。

まとめると、自分は嫌われていると思い込んでいたり、自分に自信がない人ほど共感性が高くなるが、そうなると、他者のことばかり気づかって、自分は気づかわれなくなってしまう。

 

一般的には、かわいそうな境遇の人が共感されると思われているが、共感されるかどうかは相手の持つバイアス(思考のクセ)による。嫉妬される要素のある人は共感されないし、本気で悲しんでいる人を見ると、見ている側の気分が下がるから、共感したくない。つまり、共感は極めて主観的で、客観性に乏しい感情と見ることもできるだろう。

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