食のスペシャリスト&グルメに精通する識者で構成される「FRaU Foodies」が、今イチオシの料理やスイーツなどをお届けします。年間600杯食べるラーメン女子の森本聡子さんから、暑い時期にピッタリの冷たい麺をご紹介いただきます。今回の一杯は「朝ラー(朝ラーメン)」。まるでお蕎麦のようなラーメンだといいます。

ラーメン女子・森本さんのおすすめ一覧▶︎

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蕎麦つゆのようなスープが特徴
朝から食べられるラーメン

「『朝ラーメン』の代表といえば福島県の喜多方市ですが、実は静岡県藤枝市にも同じ風習があります! しかも"温"と"冷"の2杯を食べ比べる習慣があるから、なお面白いんです」

年間600杯のラーメンを食べる森本聡子さんから飛び出した、驚きのご当地ラーメン。朝から2杯のラーメンを食べられる「マルナカ」は、1919年に創業した100年を超える老舗です。東海道沿いに店があります。

「お茶の農家さん、藤枝で朝早く働く人たちを相手に商売をはじめたと言われています」

この朝ラー、創業当初からやっていたわけではないようです。その理由を3代目の小栗孝昌さんに伺いました。

「昼、夜の営業だったのですが、段々早くお見えになるお客様を招き入れているうちに、8時半〜13時20分頃までの営業時間になりました。朝、営業するようになったのは、初代の小栗喜一さんが家族に『頼むからNHK朝の連続ドラマを見させて!』と言われたから。それで8時半からの営業に定着したみたいです」。

3代目の小栗さん、実はエレクトーン演奏家で作曲家。講師活動なども行っていたのですが、結婚を機にお店を継ぐことに。2代目の小栗輝雄さんの「素人にお店に入ってほしい」という希望からだったそうです。

なぜ、”温"と"冷"の2杯を食べるようになったのか。

もともと温かい中華そばだけだったのが、今から70年以上前の夏、エアコンがまだないときに「暑くて、熱くて、ラーメンを食べていられない」とお客さんから言われたことで、冷やしラーメンを考案。

冷やし並 700円(税込)

初代が試行錯誤の末、辿り着いたのが、甘口の蕎麦つゆのようなスープでした。酢は使わず、砂糖などで甘味を加えて冷蔵庫で冷やしたものを使用しています。

「涼しげな透明の器に入ってやってきます。甘さを感じながら、ワサビや紅生姜を混ぜつつ啜っていくと、やはりお蕎麦のようです」