ガスも電気もお金もない…ドイツ「緑の党のエネルギー政策」に吹き始めた逆風

このままでは国民は冬を越せない

連立政権に亀裂が入り始めた

7月29日、ハーベック経済・気候保護相がバイエルン州のバイロイトと、チューリンゲン州のシュロイジンゲンで登壇。政府のエネルギー政策を説明しようと聴衆の前に立ったが、どちらでも抗議の声で遮られた。

現在、壊滅状態に陥っているドイツのエネルギー政策だが、ほとんどのアンケートでは、ハーベック氏の人気も、緑の党の人気もいまだに高く、私から見ればドイツ政界の7不思議の一つだったのだが、バイエルン州やチューリンゲン州はどうもその限りにあらず、のようだ。

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掲げられているプラカードを見ると、「お前は嘘つきだ」「お前は戦争を煽っている」という直接的なものから、「ハーベックはドイツを反吐が出るほど嫌だと思っている。あるいは、その反対?」などという捻ったものもあった。要するにここには、ハーベック氏をひどく嫌っている人たちがいるという意味だ。

バイエルン州というのは元々独立独歩の気性が強く、州政権が常にドイツの中央政権と力比べをしているし、チューリンゲン州は旧東独地域なので、州民がやはり現政権に対して斜めに構えているようなところがある。だから、彼らが緑の党の大臣の言葉を鵜呑みにしなくても不思議ではない。最近の政府は、鵜呑みにするには思考力を切るしかないような矛盾したことばかりしているのだから、反発は当然とも言える。

ただ、これまでは、緑の党に関してだけは不利なことは極力報道を避けていたのがドイツの公共放送、および主要メディアの姿勢だった。それが今、次第に変わりつつある。

いくら何でも、彼らの主導しているエネルギー政策は、このままでは国を潰しかねないと皆が危惧し始めたからだろう。これまで緑の党に肩入れしすぎたメディアは、今、苦肉の方向転換を模索中かもしれない。

 

現在、ドイツ政権内の足並みがまるで揃っていないことが誰の目にも見えるようになってきた。そもそも、SPD(社民党)と緑の党といういわゆる左翼連合と、FDP(自民党)という自由市場に重きを置く保守政党の連立に無理があるということは、去年、連立交渉が行われている最中から指摘してきたが、今や政府内だけではなく、SPD、FDP、緑の党、それぞれの党内にも亀裂が入り始めている。

ドイツ政府は空中分解の危険にある。

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