健康診断で問題がなかったのに…

健康診断では問題がなく、お酒は好きだけど食事はバランスを考え、ヨガなど適度な運動もしている――医療ライターの熊本美加さんは、「心疾患」という言葉からは縁がないと思われる存在だった。しかし2019年11月19日午前10時、山手線車内で突然心肺停止し、倒れてしまったのだ。幸い命を取りとめ、周囲の助けと必死のリハビリを経て、今は社会復帰を果たしている。その熊本さんの体験、予兆から社会復帰までを上野りゅうじんさんのマンガと共に伝えているのが『山手線で心肺停止 アラフィフ医療ライターが伝える予兆から社会復帰までのすべて』だ。本作を読むと、心疾患というのが「他人事ではない」ことが伝わってくる。

2019年11月19日午前10時の山手線車内で、熊本さんは突如心肺停止になって倒れた (c)上野りゅうじん、熊本美加『山手線で心肺停止』より

本書から「病気を自分ごとに考える大切さ」を伝える1回目の前編「健康診断オールAでも要注意!「山手線で心肺停止」が他人事ではない理由」では「健康診断で問題がない」からといって油断をしてはならない理由をお伝えした。熊本さんは「予兆」として心肺停止の2週間前に不気味な胸の痛みを覚えていたが、10分ほど安静にしているともとに戻った故に放置していたというのだ。では油断をしないでどのように気をつければいいのか。コロナ禍で病院がひっ迫していると、どうしても「ちょっとなら我慢しよう」と思いがちだ。後編では『山手線で心肺停止』より一部抜粋し、「病院に行くべき痛み」についてご紹介する。

(以下、熊本美加さん『山手線で心肺停止』から抜粋の上再編集したものです)

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痛みが治まっても病院に足を運ぶべきだった

耐えられない体の痛みや苦しさが続けば、誰もが病院に駆け込むでしょう。でも、私のように、胸の痛みがあっても、毎回じっとしていると、とりあえず治まるケースならどうでしょうか? 症状が落ち着けば痛くもかゆくもないのに、わざわざ病院に行くなんて時間もお金ももったいないと思いませんか? しかも、「多忙なお医者さんに余計な手間をとらせてしまうのは申し訳ない」と勝手な言い訳で華麗にスルー。今になってみればこれが大間違いで、痛みが治まったからと安心せず、病院へ足を運ぶべきでした。

山手線車内で倒れる2週間前のことだった (c)上野りゅうじん、熊本美加『山手線で心肺停止』より
しばらくして治まったから大丈夫…と思っていた… (c)上野りゅうじん、熊本美加『山手線で心肺停止』より

何科でもいいから病院へ行き、胸の痛みが出たときの症状を医師に話していたら、「心疾患の疑いあり」と循環器内科を紹介されたでしょう。詳しい検査を受け、心臓が痛む原因がわかれば、血管を拡張する薬や、血液をサラサラにする薬など、的確な治療が施されたに違いありません。少なくとも、心肺停止で死の淵をさまようことはなかったはずです。

(c)上野りゅうじん、熊本美加『山手線で心肺停止』より

そこで、胸に痛みを覚えたとき、どこがどのように痛む場合に病院に行くべきかなど判断の目安をご紹介しておきます。これは実際に私の循環器内科の主治医から教えてもらいました。私のような目に遭わないために、参考にしてください。

治まったから救急車を呼んだらダメだよな…と思っても、「7119」に電話をして相談するとアドバイスをしてくれるはずだ Photo by iStock