2022.08.08
# 不動産

財閥系デベロッパーのタワマン計画が頓挫…あまりにもズサンで横柄な「マンション地上げ失敗」の悲惨な末路

財閥系デベロッパーによるタワマン計画はなぜ頓挫したのか。前編記事「有名タレントが住む都心の超一等地に建つマンションが、なぜか空室だらけ…廃墟寸前のヤバすぎる実態」に続き、「マンション地上げ」の詳細をお伝えする。

住民側に不利な設定が次々発覚

都心の超一等地に立つマンションの住人たちに対し、財閥系デベロッパーのM社側から、徐々に詳しい建て替え計画の内容が提示されていく。ただ、区分所有者の中には「2000万円以上の負担なんて、おかしいのではないか」「この場所で住戸数も倍近くに増えるのだから、負担がゼロでも可能ではないのか」といった意見が出るようになる。

そのマンションに住む岸先生(仮名)の職業は弁護士である。彼も疑問に思うところがあり、計画案の内容を細かくチェックしていった。

すると、さまざまな疑問点が浮かび上がってきた。区分所有者側には著しく不利で、賃貸住戸を所有する不動産会社のS社や、開発するM社側に有利に設定されている部分が、いくつも見つかったのだ。

photo by istock(写真はイメージです)

例えば、区分所有者の現有住戸の権利は内法面積を基にしているのに、建て替え後の取得住戸の面積は壁芯が基準となっていた。壁芯とは躯体である鉄筋コンクリートの真ん中のこと。壁芯で面積を測ると、実際の有効面積である内法と比べると5~10%前後広くなる。

それは建築や不動産の業界にいる人なら誰でも知っていること。ただし、一般の方には知らない人も多い。

要するに、S社とM社は区分所有者たちを舐めてかかった、という疑いが濃厚であった。

岸先生の指摘に、M社側はしどろもどろとなる。彼らのあまりにもズサンな計画と横柄な対応に、区分所有者たちの間に不信感が広まる。当然、反対派グループが形成された。そのリーダー格はもちろん岸先生である。

 

そうこうするうち、反対派の区分所有者たちの元には怪しい社名を名乗る業者から、頻繁に電話がかかってくるようになった。

「そちらの住戸を買わせてください」

いくらで買いたいの、と聞くと「どうぞ金額をおっしゃってください。その値段で買わせていただきます」。

地上げ屋の登場である。

反対派の所有住戸を買い進めていき、建て替えを強行できる5分の4をめざそうというのだ。後手に回ったM社側の、苦し紛れの手だてだったのだろう。

しかし、地上げ屋に売却する区分所有者はほとんどいなかったそうだ。

やがて岸先生は、M社やS社側の手続き上などの不法行為を追及する訴訟を、いくつも提起。何といっても現役弁護士である岸先生本人が区分所有者の一人として、訴訟の原告になっているのだ。訴訟を起こす心理的、金銭的負担は一般人に比べると極めて軽微。すでにそれらの訴訟の一部では勝訴の判決も出ている。

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