日本の長時間労働は社会問題になっている。2019年4月1日に施行された「働き方改革法案」にも労働時間規制が盛り込まれた。OECD(経済協力開発機構)が発表した、2021年の加盟国の平均年間労働時間の調査データを見ると、日本の年間労働時間は45か国中27位で1607時間。最も労働時間が長い国はメキシコで2128時間。最も短い国のドイツは1349時間だった。しかし、統計データにはいわゆる「サービス残業」は含まれていない。ワークライフバランスはとても重要だ。

ただ、そんな「長時間労働が多い」という日本の労働環境が浮気や不倫の隠れ蓑になっていることも少なくないという。
キャリア10年以上、3000件以上の調査実績がある私立探偵・山村佳子さんは「仕事の時間が長い人ほど、不倫や浮気が多いと感じています」と語る。彼女は浮気調査に定評がある「リッツ横浜探偵社」の代表だ。今回相談に来たのは、夫が仕事をバリバリこなし、自分は家庭を支え、子育てに集中しているという専業主婦の女性。「長時間労働」で頑張っている夫からの対応が日に日にひどくなっていったという。そこから暴かれたことは何か。この連載は、調査だけでなく、調査後の依頼者のケアまで行う山村氏が見た、現代家族の肖像でもある。

山村佳子
私立探偵、夫婦カウンセラー、探偵。JADP認定 メンタル心理アドバイザー JADP認定 夫婦カウンセラー。神奈川県横浜市で生まれ育つ。フェリス女学院大学在学中から、探偵の仕事を開始。卒業後は化粧品メーカーなどに勤務。2013年に5年間の修行を経て、リッツ横浜探偵社を設立。豊富な調査とカウンセリングを持女性探偵として注目を集める。テレビやWEB連載など様々なメディアで活躍している。
リッツ横浜探偵社:https://ritztantei.com/
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「デキる夫が大好きなんです」

今回の依頼者・沙織さん(45歳)専業主婦です。中学生の2人の息子がおり、夫はマスコミ関連の企業で働いています。きちんとアイロンをかけられたイニシャル入りのハンカチを持っており、カウンセリングルームにも濃紺のシャツワンピでいらっしゃいました。
小柄でふっくらしている優しいママというタイプ。いわゆる良妻賢母タイプの女性で、「私なんて」が口癖で、夫のことを「主人」「パパ」と呼びます。

「2歳年上の主人とは結婚17年になります。パパはすごく仕事が好きで、仕事熱心なんです。結婚当初から毎日夜中に帰ってきて、土日しか家族の時間がないけれど、息子たちも尊敬していますし、私もデキる主人のことが大好きなのです。でもいつの頃からか“お前と話しているとイライラする”とか“バカと結婚するんじゃなかった”などと言うようになりました。それが悲しくて、“私がダメなところは教えて。直すから”と言っても無言になるだけ。ここ2年ほどは口もろくにきいてくれないんです。でも主人はホントにすごいんですよ。寝る間も惜しんで働いていて、コロナの間もずっと会社で仕事をし続けたんですから」

そう言って目元にハンカチを当てる沙織さん。夫は間違いなくモラハラですが、それを誘発しているのは沙織さんかもしれないと考えてしまいました。