2022.08.11
# 年金

75歳男性の「老後の暮らし」を“崩壊”させた、年金「繰り下げ受給」の落とし穴

まさか、こんなことになるとは

かつては大手企業に勤めていた清水正広さん(仮名、以下同)は、1歳年上の妻の元子さんとの二人暮らし。将来もらえる年金額を増やして老後の生活を安定させるため、60歳で勤め先を定年退職してからも個人事業主としてバリバリ働き、保険料を支払ってきました。

そのような努力にもかかわらず、現在75歳になった清水さんの生活は苦しく、将来への不安は募る一方です。いったい清水さんの人生に何が起こったのか、【前編】『75歳男性が絶句…年金「受給額」を増やそうとして、逆に生活が「破綻寸前」な悲劇』に引き続き、過去に戻って70歳からの清水さんの暮らしを見てみましょう。

ようやく、受給開始の70歳に

それから5年後、70歳になった清水さんはまた年金事務所を訪れ、受給開始の手続きを行いました。5年間繰り下げたので、老齢基礎年金・老齢厚生年金は1.42倍に(1+0.7%×60ヵ月=1.42)。65歳から受け取っていれば年額約233万円だったのが1.42倍され、さらに65歳から70歳まで厚生年金に加入した分の年金額が加わり、年額は約342万円になりました。

「70歳になり体力にも限界を感じるようになったので、会社を引き継いで完全にリタイアすることを決めました。もともと厚生年金に加入するのも法人化した目的の一つでしたが、もうこれ以上は年金額を増やせません。事業主として社会保険料を支払うのも負担が大きいと感じていましたし、潮時かと思いました」

Photo by iStock
 

この時点で、妻の元子さんは71歳。彼女も70歳から繰り下げ受給していたため、老齢基礎年金・老齢厚生年金は約180万円になります。合計すると、夫婦で年額520万円以上の年金を受け取れるわけです。

「繰り下げた年金で、ようやく悠々自適の暮らしができるはずでした。何しろ、年金だけで520万円ももらえるんです。この年になれば保険料が差し引かれることもなく、十分生活できると高をくくっていました。しかし年金生活でも、国民健康保険料と介護保険料は容赦なく徴収されるなんて……」

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