みんな、なぜ追い詰められるのか
安倍晋三元首相が手製の銃で撃たれ死亡した事件で、逮捕された山上徹也容疑者(41歳)が警察の調べに対し「特定の宗教団体に恨みがあった」などと供述していることを受け、この宗教団体の代表が都内で会見を開き、容疑者が団体に在籍した記録はないものの、母親が信者であることなどを明らかにしました。
この宗教団体の名は、「世界平和統一家庭連合」(旧・世界基督教統一神霊協会=統一教会)だ。世界平和統一家庭連合、旧統一教会の会長である田中富広氏が、7月11日記者会見を開き、「安倍元総理のご逝去の報に接し心からの哀悼の意を表するとともに、ご冥福をお祈りいたします。このたびの蛮行はあってはならない行為で、宗教指導者の1人として大変重く受け止めている」と述べた。

田中会長は、山上容疑者について、信者ではなく、過去も信者だった記録はないこと、そして母親については、1998年ごろ入会した信者で2009年ごろから一時姿を見せなくなったものの、ここ半年は月に1回程度、教会の行事に参加していたことを明らかにした。
また、「今回の事件後に調べたところ、2002年ごろに母親が経済的に破綻したという情報を得た。破綻に至った原因などは把握し切れていないが、この家庭に高額な献金を要求した事実は記録上残っていない」と述べた。
この世界平和統一家庭連合が信者に献金や奉仕を強要しているとして、被害弁償などに取り組んでいる「全国霊感商法対策弁護士連絡会」が7月12日、都内で会見を開いた。
「容疑者の行為は断じて許されないが、統一教会の問題性に目を向けてほしい」「今も同連合による信者への献金の強要に関する相談が寄せられている」と明らかにした。同連合に対して献金の違法性を指摘し、元信者への返金を命じる民事裁判の判決が近年も相次いでおり、「(同連合による)献金の強要はないという説明はうそ」と強調した。