コロナ禍のため、中止、規模縮小・屋内開催していた徳島の「阿波おどり」が、今年は8月12日から15日まで(8月11日に前夜祭)、屋外に演舞場を設けて開催されます。コロナの感染再拡大などにより、当初の予定から休園・中止となった施設やイベントもありますが、徳島の夏の風物詩、阿波おどりが3年ぶりに復活するとあって熱気に包まれるのではないでしょうか。

400年以上の歴史を持つといわれる伝統芸能の阿波おどりは、「踊る阿呆に見る阿呆、同じ阿呆なら踊らにゃ損々」のフレーズどおり、老若男女を結びつけ、絆を深める役割を果たしています。そんな阿波おどりの魅力とは?

●情報は、FRaU2021年12月号『FRaU TRAVEL TOKUSHIMA』発売時点(2021年10月26日発売)のものです。

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世代も距離も超えて人を結びつけるもの

夏の徳島は阿波おどりの楽園だ。「ヤットサーヤットサー」という威勢のいい掛け言葉。太鼓や鉦などの楽器隊が奏でる囃子。心浮き立つリズムに彩りを加えるのは、華やかな女踊りと勇壮な男踊り。阿波おどりは夏の徳島には欠かせないものであり、徳島で育った者にとっては心臓の鼓動のようなものともいえるだろう。

阿波おどりが行われるのは、県内でも最大の規模を誇り、新型コロナウイルス感染拡大前までは毎年130万人以上もの人が訪れていた徳島市内だけではない。ほかにも鳴門市や阿南市、三好市、小松島市など県内各地で阿波おどりの大会が開かれ、地元を拠点とする各チームが自慢の演舞を披露する。実際に足を運ぶとわかるが、四方八方から地鳴りのような太鼓の重低音が鳴り響く光景は衝撃的なものだ。徳島ではそうした祝祭空間が県内各地に出現する。夏の徳島はまさに阿波おどり一色に染まるのだ。

阿波おどりのチームは「連」と呼ばれる。有名連ともなると、数百人が所属する大規模なものもある。企業の社員と家族で構成される企業連、阿波おどりサークルを中心とする学生連のほか、地域コミュニティと結びついた連も少なくない。地域密着型の連の場合、連員の年齢層は子どもから高齢者までさまざま。雰囲気としては町内会が近いだろうか。

しかし、そうした町内会の集まりと連の大きな違いが、阿波おどりという郷土芸能によって多種多様な人びとが強く結びついているという点だ。阿波おどりを通して異なる世代間でより密なコミュニケーションが生まれ、普段出会うことのない人びとが同じ目標に向かって一致団結する。こうした阿波おどりの力は、高度経済成長期以降のライフスタイルの変化によって地域コミュニティのつながりが弱まるなか、重要な意味をもってきた。近年、徳島でも大都市への転出者が転入者を上回る転出超過の傾向に歯止めがきかず、大きな問題となっているが、一度仕事で徳島を離れた働き盛りの世代が、阿波おどりのために地元に戻ってくるケースもあると聞く。阿波おどりはバラバラになりつつあるコミュニティをつなぎ合わせる接着剤のような役割を果たしてきたのだ。