
ギリシャが底なし沼のようになっている。ザルなどという容易い(たやすい)ものではない。EU27ヵ国が、挙って奈落の底に引っ張り込まれそうな不気味さだ。
次の債権返済の期日が7月半ばに迫っているというのに、ギリシャの国庫は今回も空っぽ。返済に充てるお金など、逆さにして振っても出てこない。借金を返すために、また借金をするという構図が定着してしまった。直ちにEUからの援助がなくては、7月中にもギリシャは債務不履行、つまり、破産する。
借金まみれのギリシャを救済するため、EUとIMF(国際通貨基金)が大型の金融支援を決めたのは去年のことだ。2012年までの3年間で、合計1110億ユーロ(約13兆円)がつぎ込まれる(内訳はEUが800億ユーロ、IMFが300億ユーロ)。ドイツの負担金はEUの中で一番多く84億ユーロだ。
すでに4回の支払いが行なわれており、現在は、第5弾の支援分120億ユーロについてEUの首脳が顔色を変えながら討議している最中だが、唯一確かなのは、これだけではギリシャの破産を食い止めることは到底できないということ。早急に追加支援が要る。その額およそ1200億ユーロ。一年前には、誰がそんなことを想像しただろう。EUは今、にわかに怖気づき始めている。
建国以来はじめて公務員を数えた
そもそも去年、支援が決まった時点で、ギリシャはその条件として、3年間で300億ユーロの財政緊縮を義務付けられていた。財政立て直しの法案を立て、国会を通さなくてはいけない。しかし、それ以来、議会では喧嘩と混沌以外、ほとんど何も起こっていない。
去年の7月、ギリシャ国は1832年の建国以来初めて、公務員の数を数えた。その結果、どうも勤労者の4人に1人が公務員らしいということがわかった。公務員職は、何かのお礼にもらえたり、世襲であったり、また、お金で買えたりするらしい。
それにしても信じがたいのは、この調査をするまで、いったいこの国に何人の公務員がいて、どんな仕事をしているか、あるいは、していないか、また、どうやって公務員になったのか、そして何より、ギリシャという国が、公務員と称する人間に、どれだけの給料を支払っているのかを誰も知らなかったという事実だ。
さらに言えば、この国では賄賂なしには何も進まない。自動車免許も手術の日程も、すべて袖の下次第という絶望的な体質だ。税金は頭の悪い者が払うものと皆が思っている。ただ、年間のセックス回数の調査では世界一位だった。これでは破産しても無理はない。
さて、こうして財政危機に陥ってしまった国民がこの一年何をしていたかというと、大掛かりなデモに明け暮れていた。「年金カット反対」、「給与カット反対」だ。しかし、他の国だってお金が余っているわけではない。スロヴェニアやマルタといった貧しい国さえ、ギリシャのために血税をつぎ込んでいるのだ。冗談も休み休みにして欲しい!