2022.09.07
# 音楽

ライブ後の“打ち上げ”は不要?大槻ケンヂが明かすバンドマンの「葛藤」

大槻ケンヂ×「挫・人間」下川対談2
前編では、ロックバンド「挫・人間」ボーカルの下川リヲさんと「筋肉少女帯」のフロントマン・大槻ケンヂさんが「メンバー脱退」について語り合った。その後、話は脱線し「イマドキのロックバンドのあり方」について二人が本音をぶつけた。

ライブ以上に盛り上がる「打ち上げ」

――ロックバンドといえば破天荒で、ライブ後に激しい「打ち上げ」をするイメージがありますが……。

大槻ケンヂ(以下、大槻) コロナ禍ですっかりその風習はなくなっています。むしろ僕はそれで良いと思っているんですよ。

下川リヲ(以下、下川) ライブ後の打ち上げというのはバンドマンにとって「憧れの形」みたいな部分はありますけど。僕はお酒を飲むとヨッパらいすぎてよろしくない状況になっちゃって、周りに迷惑をかけてしまうんですよね……。

大槻 20~30代のころは、ロックバンドっていうのはライブが終わったら「みんなで打ち上げをするんだ!」って、そういう取り決めがあると思っていたんだよね。まだ体力があったから、自分から率先してライブ以上に、ライブ後のメンバーやスタッフとの交流を楽しみにしていた。いわゆる「飲みにケーション」ってやつ(笑)。でも40代くらいになると、身体がついていかなくなってきたんだよね。

下川 身体の不具合ですか。バンドのありとあらゆる問題は、打ち上げで発生しているかもしれませんね。

「挫人間」下川リヲ氏(本人提供)
 

大槻 ツアーでメンバーとずっと一緒にいる中で打ち上げに行くと、特にね。話す内容がないもんだから、トークを回すためにお互いのアラ探しや、ありもしないうっぷんを語りだすとかね。「さっきのライブでお前なんだよ、あれ」なんていう小競り合いもありました。

下川 それがエスカレートして「俺、もうバンド抜けるわ!」に発展しちゃう場合もありそうですね。

大槻 そうそう。打ち上げは行ってもいいことがないよ! 僕はもう今は打ち上げる体力がない。打ち上がらないんですよ。だって話すことないんだもん(笑)。コロナ禍で打ち上げがなくなった今、改めて考えると義務感というか強迫観念でやってたんだなあ、と思います。

下川 「打ち上げをしなくなって、身体が軽くなったよ」っていう人もいますよ。健康なのか不健康なのかよくわかりませんが。

大槻 下川くんは今31歳でしょ? まだまだ若いから、みんなでワーッとライブやってツアーやって打ち上げでドンチャン騒いでケンカもしてっていうのはまだやっていた方がいいんじゃない? バンド文化としてさ。そのうち年とともに「あ、もうこれはいらないな」って日が来るかもしれないよ。

関連記事