15歳以上の子をもつシングルファーザーの悩みは

思春期の子どもとの関係。それに悩む親は少なくない。子どもが自立に向かって進む時代の共通の悩みだが、片親の場合は特にどのような悩みを持つことが多いのか。

厚生労働省の「平成28年度全国ひとり親世帯等調査結果報告」によると、15歳以上の子どもをもつシングルマザーの子どもに対する悩みの1位は教育・進学で63.7%、以下2位就職(14.2%)、3位健康(6.1%)、4位障害(4.0%)、5位しつけ(2.4%)、6位非行・交友関係(2.1%)、7位食事・栄養(1.3%)と続く。同様にシングルファーザーは1位が教育・進学で44.4%、以下2位就職(16.2%)、3位健康(10.3%)、4位しつけ(7.7%)、5位食事・栄養(6.0%)、6位障害(3.6%)、7位非行・交友関係(2.6%)。

これをみても、進学や就職に対しての悩みは共通にあり、食事や栄養に関する悩みはシングルファーザーで悩んでいる比率が大きいことがわかる。言い換えれば、食事や栄養に関する悩みが解決すると、悩みが小さくなるともいえる。

「食事・栄養」の豊かさは子どもとの生活の楽しさになるとが感じさせるのが、辻仁成さんのエッセイ『パリの空の下で、息子とぼくの3000日』だ。これは、息子が14歳のときから書き続けた記録をまとめたもの。辻さんが離婚をした、息子が10歳のときにも遡りながら、絶望の淵にいたときのこと、子供とうまくいかないときのこと、フランスという外国での不安、そしてコロナ……と、様々な「思い通りにならないこと」に直面したときのことも綴られている。離婚したばかりのとき、息子さんがぬいぐるみを涙で濡らしていたということも書かれている。

そんな辻さんの人生を支えたのが、「料理」「食」だ。食べることは命をつなぐことであると同時に、幸せを感じられることでもある。相手への想いを、言葉を超えて伝えられることでもある。息子とのコミュニケーションにも「食」はとても重要なものだ。辻さんの文章からは、食の力や「小さな幸せ」がもたらすパワーが伝わってくる。
本書より特別に「食と人生」をテーマに特別抜粋のうえご紹介する短期集中連載、4回目は、息子さんの17歳の誕生日のときの「たこ焼き」を焼いた日の話をお伝えする。

これは辻さんのたこ焼きではありません Photo by iStock
-AD-

息子の誕生日になった夜中0時

1月某日、0時を過ぎたので「おめでとう」を言いに行ったら、すでに子供部屋は消灯していた。

大学受験まで模試の連続なのである。まじめなやつだから、明日に備えて、早寝したのだろう。ま、起きてからでいいか、と思ったけど、一応、ぼくが起きることができない場合、夕方まで「おめでとう」が言えなくなるので、玄関の扉に、小学生時代の写真を引き伸ばしたコピー紙に手書きのメッセージを書いたものを張りつけておいた。

大学受験の勉強のときに作ったお弁当のひとつ 写真/辻仁成インスタグラムより

しかし、まだプレゼントも何も買っていなかった。別に何もしないでいい、と本人は言ってたけど、せめてプレゼントくらいは買っておく必要があるだろう。
小雨降るパリの午後、今時の17歳が好きなものを探すために、父ちゃんは外出した。