【新連載】コカコーラの瓶をドライバーに⁉︎ 規格外すぎた少年漫画『プロゴルファー猿』

「マンガ名作館」'70年代編①

編集部は難色を示した

「週刊現代」で連載しているゴルフマンガ『人生はバウンスバック』(こしのりょう)を読んで、『プロゴルファー猿』(藤子不二雄A)を思い出した。1974年から「週刊少年サンデー」で連載された少年誌初のゴルフマンガである。

 

筆者は2009年に藤子不二雄Aにインタビューしたことがあるが、当初「少年サンデー」編集部は難色をしめしたという。昭和40年代、ゴルフは「ブルジョワのスポーツ」であり、まだ庶民が気軽にやれるものではなかった。まして野球やサッカーと違って、ゴルフをやる子どもなんてほとんどいない。少年読者にまったくなじみがない世界というわけだ。

最初は本物の猿がゴルフをやる話を考えていたんですよ。主人公がニホンザルで、敵役がゴリラ、外国からチンパンジーがやって来て、と。だけど、うっかりするとギャグマンガになってしまう。それで、猿に似た少年に変えたんです」(藤子不二雄A)

猿谷猿丸、通称「猿」はH県奥山市の山奥で暮らす少年。父を早くに亡くした猿はプロゴルファーと称して賭けゴルフをしている。賞金をためて、いつか母や弟たちのために豪邸を建てるのが夢だ。

木、ヌンチャク、コカコーラ

その才能に目をつけた覆面の怪人が「ミスターX」。彼は猿を傘下に入れようと、次々と「影のプロゴルファー」を送り込んでくるが、猿はそれを撃破。アマチュアの大会でも優勝し、やがて本物のプロゴルファーを目指していく。

photo by Gettyimages

猿が使うクラブは、木を引っこ抜いて作った「手作りのドライバー」だった。

形状だけならドライバーそっくりのものを作ることは可能だろうが、それでボールを打って200メートルも飛ばせるわけがない。

ほかにブルース・リーをモデルにした「竜」が使う「ヌンチャク・ドライバー」などもあったが、もっとも無理があったクラブは米国から来日したジェロニモの「コカコーラの瓶」だろう。

普通に中身も入っていたところを見ると、特殊な加工をした瓶とも思えない。これでまともに飛ぶはずがないし、そもそも硬いゴルフボールを強打した時点で割れてしまうのではないだろうか。考えてみればミスターX率いる「影のプロゴルファー」も存在意義がよくわからず、いかにも昭和の少年マンガだ。

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