新型コロナワクチンの副反応に苦しんだ人は多くいたようだ。
厚生労働省の発表によると、コロナワクチン接種で発熱の症状が出た人は2回までで4割程度。ワクチンの副反応による発熱中に人に会ってもコロナがうつることはないというが、なにより高熱は辛いし、安静にしたほうがよいのは間違いない。

しかし、介護や子育てなど、自分が何かの世話をしなければならない場合はどうだろうか。にしおかすみこさんは、ご自身の説明によると「80歳認知症の母、47歳ダウン症の姉、そして81歳酔っぱらいの父」と4人で暮らしている。が、基本的にはにしおかさんが家族の世話をしているのが現状だ。
ではコロナワクチンで発熱した時どうだったのか。
にしおかすみこさん連載「ポンコツ一家」、12回目の今回はワクチン接種後ににしおかさんが発熱した日のことをお伝えしている。

お米も用意し、作り置きもしておいたはずだったのだが、認知症の母は「お米がない!買ってきて」と繰り返す。果たしてにしおかさんはどうするのか。

写真提供/にしおかすみこ
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イタタな合唱

「ん、んんコホン」と咳払いが聞こえた。振り返るといつの間にやら姉がいる。嬉しそうにクシャっと目尻に皺を寄せ「わたしがきたよ」と。母の横は自分の席だとばかりにどっかりと腰をおろす。脇に抱え持参した…絵本をゆっくりと開く。「むかしむかしの はなし。かにとさるがいます。……かにさん、そのおにぎりと かきのたねをこうかんしないかい?」読み聞かせが始まった。強制的にチャンネルを変えられたような気になる。世界一のマイペースがいる。

重ねて母が入ってくる。
「おにぎり欲しいね~、その米がウチにはないの、パパクソに頼もうにも昼間から飲みに出たっきりでいないんだよ。すみ、悪いんだけど5キロの米をお願い」

姉が「♪はーやく めをだせ かきのたね。でないと はさみで ちょっきんだあ!」

いもとようこさんが猿蟹合戦を絵本にした「さるかに」

母が「ちょっきんだあ、ね~、はーやく米、行ってくれるかなあ」

姉が「やねのうえから うすドンが ふってきます!どっしーん!アイタタタ!アイタタタ!」

母が「ママが買いに行こうにも、腰ちょっと動かしただけでイタタタ、イタタタタタ」

二人で「イタタタ、イタタタタタ」

頭でイタタが勝手な大合唱となり、渦を巻き耳を塞ぎたくなる。
「うるさい!しんどいんだよ!今日は無理なんだよ!」と、自分の出した音量で頭がイタタタとのけぞりそうになる。くそっ。