緑の党の勢い
「次の日曜日が総選挙ならどの党に投票するか?」というのが、『ポリットバロメーター』の定番の質問だ。
ポリットバロメーターというのは、第2テレビが1ヵ月に一度流す番組で、その時々のテーマに合わせて行ったアンケートの結果を紹介する。大した分析などはしないのだが、単なる数字に時勢、国民の考えなどが反映されていて、結構面白い。
8月12日のポリットバロメーターでは、前述の定番の質問の答えが、前代未聞の結果となった。緑の党とCDU/CSU(キリスト教民主/社会同盟)が共に26%で、トップに躍り出たのだ。緑の党は現在の3党連立政権のメンバーであり、一方のCDU/CSUは最大野党。しかし、首相府を担っているSPD(社民党)はというと、わずか19%だった。

現在、緑の党とCDU/CSUと、どちらの勢いが良いかと言えば、緑の党の方が断然優っている。やはりポリットバロメーター定番の政治家の人気投票でも、1位がハーベック経済・気候保護相、2位がベアボック外相、3位がオツデミア農相と、3位までを緑の党が独占していた。
つまり、本当に次の日曜日に総選挙だとすれば、緑の党がCDU/CSUを取り込んで政権を樹立するという図になる。そして、ハーベック氏が首相だ。実際、緑の党は3年先の総選挙にそういうヴィジョンを描いている。
それにしても、40年前に、学生運動で暴れていた人たちやら、既成概念をひっくり返すことに専念していたヒッピー・ムーブメントあたりを源流として出来上がった緑の党が、EUの経済大国であるドイツの政権党になるかもしれないなど、誰が想像しただろう。
総選挙はまだ3年後の話なので、この先、何が起こるかわからないとはいえ、「ハーベック首相」という予測は、すでにただの絵空事ではなくなっている。