新書は絶滅危惧種なのか?
もはや「新書」は絶滅危惧種なのではないだろうか――そう思うことがある。
新書編集部の現場にいると、なかなか気づかない。日々の業務に忙殺されるし、なにより、新書づくりは面白くて楽しい(むろん楽しいことばかりではありませんが……)。
だから、そんな暗い未来のことはあまり考えずに日々、仕事を続けている。
それでも、業界の数字を見れば、今の新書が置かれている状況は結構ヤバい。
紙の書籍の総出版販売金額(約6804億円)のうち、教養系新書が占めるのは約141億円。全体の2%強と、決して大きなマーケットではない。金額の推移を見ても、2011年の約230億円から下がり続けている。
(公益社団法人全国出版協会・出版科学研究所の調査による。2021年の数値)
一定の規模以上の書店さんには、今でも新書のコーナーがあるし、ありがたいことに新書が好きな読者の方も一定数存在する。
それでも、私(現在53歳)の若いころは、新書といえば、まだまだ「大学生や意識の高い高校生とかが読む本」というイメージが残っていたが、現在の新書の読者層は私より上か、ほぼ同世代の50~60代がメインである。
もっとハッキリ言ってしまえば、今の若い人にはほとんど新書がスルーされている。