このまま新書は絶滅するのか…講談社現代新書が出した「一つの答え」

100ページだから内容は3点に絞る

結局、私は上記の1~3を満たす新書のシリーズを実験的につくることに決めた。

失敗するかもしれないが、50も過ぎてそろそろ人生も先が見えてきたので、やりたいことをやろうと決めた。

●本文は100ページ程度
●テーマは「今こそ読まれるべき思想家」(ということで、シリーズ名は「今を生きる思想」と名付けた)。

本文が100ページと短いので、内容も絞り込む必要があった。
部内の有志(と言っても、編集長特権をふりかざし、半強制的にプロジェクトに引きずり込んだ)といろいろ話をした上で、以下の3点を本文の骨子とした。

●それは、どんな思想なのか(概論)
●なぜ、その思想が生まれたのか(時代背景)
●なぜ、その思想が今こそ読まれるべきなのか(現在への応用)

難解な用語は使わず、どうしても使わななければならない場合は丁寧な解説を心掛け、文脈も論理的に流れるように――著者の方々には無理なお願いを無理に承知していただいた。

というわけで、イッキ読みできる教養書ということで、「現代新書100(ハンドレッド)」をいよいよ9月13日に創刊する。

より多くの読者、とくに若い方々にも読んでもらえるように、電子書籍では値下げして先行販売、あるいは、発売後にオンラインで著者が「補講」を行う機会を設けるなど、新しい施策にもチャンレンジしたいと考えている。

新しいことを考えるのは面白いのだ。

創刊時の2冊は、「全体主義」の真の恐ろしさを見抜き、人々が抵抗する方策について考え続けたハンナ・アレントと、「欲望」というフィルターがかかった歪んだ現代を生き抜くための方法を提示したショーペンハウアー、その2人の思想に迫る。

私なりに要約すれば、「近い将来やってくるかもしれない全体主義社会」について、傾向と対策を語ったのがアレントの本、「何かと生きづらいこの世界」をどうやって乗り越えていったらいいのかについて説いたのがショーペンハウアーの本である。

どちらも自分事として考えられると思う。

2作とも「おもしろくて、ためになる」、しかも時間もそれほどかからない(先日、私は飯田橋のドトールで、アレントの責了紙を丁寧に読んだが、トータルで3時間ほどだった。私は読むのがかなり遅い人間なので、早い方は2時間もかからずに読めてしまうだろう)。

さあ、勝負だ!