山上徹也「10年で仮釈放」は本当か その「犯罪相場」を読み解く
死刑はまずない
安倍晋三元首相を銃撃して殺害した山上徹也容疑者は、殺人容疑で送検された。現在、山上容疑者は鑑定留置中で、11月29日までの期間で精神状態を調べている。
山上容疑者は、事件前にTwitterで「憎むのは統一教会だけだ」「家族は破綻を迎えた。統一教会の本分は、家族に家族から巻き上げさせたアガリを全て上納させることだ」などと投稿していた。
山上容疑者の母親は教団に入信し、容疑者の親族によると、1億円を超える献金をしていた。その後の報道で、献金の一部が統一教会から返金されていた事実が判明している。山上容疑者には病気の兄がいて、病状が進行していく過程で母親は、統一教会への帰依を深めていったのだという。

統一教会を恨んだ山上容疑者は、当初は教会の最高幹部であり、教祖であった文鮮明氏の妻である韓鶴子総裁の襲撃を計画した。しかし、これがかなわず、統一教会と関わりがあると考えた安倍晋三元首相を銃撃したと供述しているという。供述は、論理的で、殺人も計画的に思える。
ネットでは山上容疑を「死刑にしろ」という意見から「減刑」を求める意見までも散見されるが、実際、日本の元首相で首相をも凌駕するパワーを持っていた人物を殺害すると、どの程度の罪に問われるのだろうか。
まず、国民の関心の第一は、「死刑になるか、ならないか」であるかもしれない。
大事なことなので、日本の死刑制度について少しだけ解説する。
そもそも死刑制度はキリスト教国を中心に廃止の動きがあるものの、日本において死刑制度は残っている。日本国憲法第36条には《公務員による拷問及び残虐な刑罰は、絶対にこれを禁じる。》とあって、死刑は残虐なので憲法違反ではないかと争われたことがある。
しかし、昭和23年3月12日に出た判決では「火あぶり、はりつけ、さらし首、釜ゆでの刑のように残虐な執行方法を定めれば、死刑は残虐な刑罰といえるが、刑罰としての死刑執行そのものを直ちに残虐な刑罰ということはできない」としていて、日本の死刑制度である絞首刑は「残虐でないから憲法違反でない」ということになっている。