「トランプ=悪」の決めつけ報道からはアメリカ政治の“本当の流れ”は見えてこない

反トランプの急先鋒が完全敗北

ワイオミング州の共和党予備選挙で、共和党内の反トランプのリーダーであるリズ・チェイニーが敗北したことが大きく報じられたが、日本国内の報道については事態の正確な理解とは随分かけ離れたものとなっていることに気をつけておきたい。

リズ・チェイニーは副大統領を務めたこともある大物政治家ディック・チェイニーの長女で、過去3回・6年間に渡ってワイオミング州選出の下院議員を務めてきた。下院共和党のナンバー3である共和党会議議長にもなっていた。ただし、反トランプの急先鋒として動いたことで党内で激しい反発を受け、後に共和党会議議長も解任されている。

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彼女は父親の地盤を引き継ぎ、中央の政財界との関係も強い。今回行われたのは、11月に行われる下院議員選挙で共和党から出馬する候補者を決めるための選挙にすぎないが、政治資金の流れを追及するオープン・シークレッツによると、彼女は1500万ドル(20億円)もの巨額の資金を集め、しかもそのうち95%がワイオミング州外から獲得したものだった。ワシントンのロビイストが数多く献金していることが指摘されている。

ちなみに、リズ・チェイニーを破ったハリエット・ヘイグマンが集めた資金はチェイニーの1/3にも満たない450万ドル(6億円)にとどまり、そのうちワイオミング州外から集めた資金は60%であった。選挙戦の中盤まで資金力ではチェイニーが圧倒していて、その差は6倍程度に広がっていたが、勝ち馬がはっきりしてきた終盤でヘイグマンへの献金が急激に増え、ここまで差が詰まったというのが真相である。

 

ワイオミング州はとても小さい州で、そのためどちらの候補も州内よりも州外からの資金が多くなってしまうのだが、選挙資金については、無名のヘイグマンをチェイニーが圧倒していたことがわかるだろう。

ただし、州内から集まった資金は、ヘイグマンが180万ドル(2億4000万円)、チェイニーが75万ドル(1億円)で、ヘイグマンが圧倒した。州内で地盤を確立しているはずのチェイニーの2倍以上の資金を無名のヘイグマンが集められたのは、チェイニーがいかに地元共和党支持者の中で嫌われていたかを如実に物語っている。

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