私たちのふだんの行動軸をベースに、未来を変えるアクションを集めました。毎日の暮らしの中でできることから新たな世界での体験まで、できそうなこと、やりたいことから探してみましょう。今回は、「繋ぐ」アクションの一例として、加藤紀子さんの畑にお邪魔しました。
農のある暮らしが人生を豊かなものに。

陽射しがカンカンに照りつける夏日でも、涼しげな笑顔で畑仕事に精を出すタレントの加藤紀子さん。職業柄、日焼けや虫刺されはNGなのかと思いきや、農作業歴はもう10年というから驚く。

「爪に土が入るからジェルネイルはやめました。日焼け対策は、日焼け止めとキャップ&首元にタオル。つばの大きな帽子は作業の邪魔になるから」と笑う。そもそも最初に畑を始めたのは、家庭菜園をテーマとしたテレビ番組への出演がきっかけだった。
「フランスと音楽、インドアなカルチャー好きで、スナック菓子を食べて喜んでるような私に、当時はなんで家庭菜園のオファー?って(笑)。でも無農薬野菜を取り寄せていた夫に『楽しそうじゃん!』と言われてやってみることに」

やがて1年間の出演が終わったものの、「まだなにも身についていない」と感じた加藤さんは、そのままプライベートで畑を借りることにした。
「最初は虫が苦手で、クワなどの扱いもへっぴり腰でした。忙しいときや雨が降っているときは畑に行くのも億劫だったし、今日はサボっちゃおうかなと思うこともありました。でも、支柱を立てないと台風で倒れちゃうかも、3日行かないと食べ頃を逃しちゃうかも、なんて心配になってしまう。野菜は生き物だから、私の都合ではどうにもならないんですよね。作業に慣れてきたのは3~4年が経った頃。楽しい!って思い始めたのは、実は最近のことなんです」

自分でも意外なほど長く続けてこられたのは、畑での時間が充実していることはもちろん、人間関係も大切だったから。
「畑の大家さん一家からは、知らないことをなんでも教えてもらいました。一家に子どもが生まれて成長していく姿を見るのも楽しいし、おじいちゃんが入院したと聞けばお見舞いに行くことも。結婚式の司会もするし、親戚みたいな関係に」

畑に来ると、まずは作業小屋に挨拶に寄り、その日にやるべきことがないか聞くのが恒例となった。
「できる限りお手伝いさせていただこうと思っているんです。野菜は出荷する前にやることが山ほどある。枯れた葉を取り除いたり、洗ったり量ったり、袋詰めしたり。いつも人手が必要だから」

また、友人と畑をシェアするようになってからは、一緒に作業をしたり、交代で通ったりということができるようになり、今は無理なく生活のベースに農作業がある。芸能活動では知り合えなかった人たちとの交流が畑の楽しみに繋がっているという。
「何年経っても知らないことはたくさんある。野菜の季節はなんとなく知っていても、きゅうりが育つスピードや枝豆の収穫方法は知らなかった。畑の真ん中でスマホで調べたこともあります(笑)。でも本やネットで知識を得ても実際に経験しないとわからないものですね」